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10(不死川目線) ページ11

次の日、俺は夜に
Aの元へ行った。

女1人守るくらいどうってことねェ。
そんな余裕があった俺を殴りてェ。

夕飯は絶品だった。
とにかく品揃えもセンスも味もいい。

晩酌まで用意されて
俺はかなり上機嫌だったと思う。

「お布団、敷いてきますね」

他愛のない話が一区切りついたところで、
Aが寝室へと向かう。

なんだかその言葉が
妙に胸を高鳴らせた。

「終わりましたよー」

こっちの苦労も知らず
呑気な声が聞こえて俺は立ち上がる。

俺は耐えられる、
あの冨岡が耐えてんだ、
腹を括れェ。

寝室へ入るとそこには布団が一組のみ。


腹を括れェ。


不『もっと気楽に話せ、なんか擽ってェんだよ』

「気楽?」

不『冨岡に話すみたいにしろォ』

そう告げると布団の中に入り
隣を空けてやる。


「いいの?ありがとう」


優しく微笑むAと口調に
俺は少し後悔した。
明日の朝にしとけば良かったと。


「隣、入るね?」


頭を一回下げると
隣に潜り込むA。

ふわっと香ったいい匂いに
鼓動が速くなる。


「不死川さん、あったかい」


こちらを向いたと思えば
腕に抱きついて顔を寄せるA。


冨岡ァ、ぶっ殺す。

毎回こうして寝ていたことに
なぜだか殺意が湧き始める。


少し経つと規則正しい呼吸が聞こえ始めた。

俺も目を閉じるが、
半身がAを感じ取ろうと集中していて
眠りにつくことができなかった。


「おか、あ、さ…」

寝言が聞こえた、
小さくてか細い声。

どれだけ人を悲しませれば済む、
後どれだけの人が絶望を味わう、
憎くてしょうがねェ。


必ず俺が首を斬ってやらァ。


そう心の中で誓うと、
自然と眠りについていた。





朝日に照らされ、自然と目が覚める。
いつもと違うのは、左側から感じる
人の温もりがあるということ。

人生で初めてだろう、
朝がこんなに幸せに感じたのは。


その時、文が届いているのを見つけた。

片手でそれを開くと
大きくため息を付いた。

冨岡からだった。




Aは寝起きが悪い



その一言だけだった。
俺はその紙を握りしめた。




解決策を書きやがれェ。




俺はAの肩をとりあえず叩いた。
ちくしょう、女の起こし方なんか
わかる訳ねェだろ!

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作者名:momopara427 | 作成日時:2022年4月14日 10時

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