舞い上がる【鬼滅の刃】 (ページ2)

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「お母さん、今日も舞うの？」

布団の中、横で寝かしつけている母を
見上げて首を傾げる。

母『そうよ、お母さんは毎日舞うの。
　 Aだっていつかはやることなの。
　ちゃんと時が来たら言うわ。
　今日もゆっくり寝るのよ？
　私の可愛いA』

母は私の額に優しく口付ける。

その時、玄関の音を叩く音が聞こえる。

母『…誰かしら、こんな夜に』

少し警戒しているのがわかった。
今まで、一度も誰かが来たことはない。

母『あなた、誰か来たわ』

居間にいる父に母は向かう。
私は、家族以外に誰かに会った事がない。

それに私は兄妹もいない、
少しでもいいから他人を見てみたい。

そんな興味本位で
居間に続く扉を少し開けて覗き見る。

父と母が玄関の扉を開ける。

そこには私よりも小さな男の子が
寒さに震えながら立っていた。

とても肌が白い。
…ううん、青白い。

母『まぁ、寒かったでしょう、入って』

母はそう言いながら
暖かい飲み物を作りに台所へいく。

父は上着を男の子に被せて
居間の椅子に座らせる。

父『お母さん達はどうした？
　こんな夜にどこへ行った？
　俺が探してくる、
　何か心当たりはあるかい？』

お父さんは目線を合わせながら
優しく男の子に話しかけていた。

頭を優しく撫でてる、
とても大きくて優しい手。

男の子は無言で立ち上がった。

それと同時に、
お父さんから沢山の血が噴き出した。

おとう、さん…から…？

あまりに突然の出来事で
何も動けなかった。

だんだんと呼吸が荒くなる。

母『あなた！！あなたぁ！！
　 …あなた、人間じゃ…
　きゃああああああ！！』

お盆に乗せたお茶を落とすと
お母さんはお父さんを抱き寄せた。

男の子は、何も言わなかった。

でも、お母さんからも血が噴き出した。

私の息の音が細くなり始める。
自分の鼓動だけしか聞こえない。

無『愚かだ。巫女たるものが俺を
　こんなに簡単に入れるとは。
　 …そこにいるのだろう？』

男の子がこっちを見た。
目が、怖い。

母『あなたは、無惨、なの…ね…
　愚かなのは、あなた、…
　巫女は、滅ばな…』

途切れ途切れに何かを言う母は
父の手をぎゅっと握りしめてた。

お母さん達が光ってる…？

母『あのこ、…死なせな…
　怨…あの子を守って…！』

母が何かを叫んだ瞬間、
男の子が母に何かをした。

私は見れなかった。

いや、見てたのかもしれない、
記憶がなかった。