エセ哲学兼お出迎え。 ページ6
少しだけ釈然としない、けれど何故だか可笑しさが込み上げてきて、収まったはずだった喉をもう一度鳴らし始めてしまう。
私はどうして笑っているのか、明確な理由なんて分からない。やっぱり本物には程遠いと分かっているが、理由を突き詰めたらいよいよ自分を侮蔑するしかなくなるのだ。
みんなの笑顔の理由が【嬉しさ】なら、きっと私もそれと同じように笑っているはず__信憑性なんてゼロと同じだが。
だから私の笑顔には温度が無いんだろうなぁ、と前々から思っていた事を再確認しつつ笑い終える。
最後についた息は先程のものとは違い、諦めだとか
『さてと。いい加減に行かなくちゃだよね、袴田さん待たせちゃ申し訳ないし』
傍らで楽しげな笑みを
「あっ、そうですね。少し急ぎましょうか」
急ぐ、と言っても小走りにすら満たない速度だ。人の家の中で走るのは流石にな、小学生にだって理解できるだろう。
微妙に空腹感が湧いてきただろうか、どのくらいの量がお腹に入るかをシミュレーションしながら進む。
残したりするのは失礼にあたるし、かといって食べ過ぎてしまっても………この先は考えたくないが、それが現実だ。風船に空気を入れたら膨らむのと同じである。
我が体質の馬鹿野郎、なんて内心でたいぶ口汚い言葉を吐き捨てた。あくまで内心でだ、春奈及びそこら辺の女の子の夢を崩したくはない。
実際に言うのと思うのじゃ話が違うもんな〜だのと思考を引きずっていれば、つい先程まで立っていた場所から再び音が響く。
ふっと目をやれば、今回協力を仰がせてもらった人物が帰ってきていた。
『あ、鬼道のお父さ………いえ、鬼道さん。お疲れ様です』
危ない、ギリギリ言い直せた。こうなるとこの家の中では鬼道(息子)の方をどう呼んだら良いのか、まぁそれは後で考えるとしよう。
「お、お邪魔してます…!」
横の春奈はかなり緊張しているらしく、上ずった声と共に勢いよくお辞儀をした。礼儀正しいのは良い事だ、たぶん親御さんの育て方が幸いしてるんだろう。
「あぁ。春奈さんもよく来てくれたね、ゆっくり
実に人の良さそうな顔で、というか孫娘を見るおじーちゃんの如き笑顔でそう返す鬼道(父親)さん。
やっぱり跡取りじゃなくても、自分の子供くらいの女の子は可愛いもんなんだろうか……
あまり理解できないけど、多分そういう事かな。
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アインツバル - 橋本アリィちゃんさん» ですが既に手放しかけていた粗末な文へ、こうして温かい言葉を掛けて下さった事 心から感謝しています。末筆ですが改めて、読んで頂きありがとうございました! (2022年2月26日 14時) (レス) id: 21e5f63abe (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 橋本アリィちゃんさん» コメント有り難う御座います、反応が大変遅くなってしまい申し訳ございません。前の作品については仰る通りで、私自身の手で消去致しました。応援して頂いたところ本当に心苦しいのですが、恐らく今後これを更新する事はありません。 (2022年2月26日 14時) (レス) id: 21e5f63abe (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても楽しく読ませて頂きました!今後とも応援しています!頑張って下さい!(*´ω`*)(((後、前の作品が全て消えてるんですが、気のせいですかね?(´・ω・`)))) (2021年11月6日 10時) (レス) id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 月花さん» はい3コメおめでとありがと大好き…!!()そうそう弱気な吉良ヒ、(幼少期だもの←) コメントはいつだって超絶嬉しいよ…!!本当にありがとう、これからも宜しく! (2020年8月2日 22時) (レス) id: cbb6f528ce (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 今更感あるけど….シリーズ五本目!おめでとう〜!三コメをいただいていきま〜す(←) ヒロトの名前が出てきたとき、「えっヒロ…吉良ヒ…?…!?」でした、あるちゃんの小説大好きです、更新…無理なく頑張って下さい!!(以上、謎タイミングコメント野郎でした!←) (2020年7月30日 21時) (レス) id: 689878ceda (このIDを非表示/違反報告)
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