【回想】先ずは赤と青が出逢う ページ15
この会場には、私と同じように退屈な子供が数人はいるらしい。今姿が見えたのは、恐らくその中の一人だ。
誰に声を掛けられてもきっちり挨拶できるように、参加者リストには大方目を通してある。確かあの男の子は…………
そう、鬼道有人。私と同い年で、企業の中でも有名な建設業から多岐に渡って業績を伸ばしている“鬼道グループ”社長の跡継ぎ、だったはず。
付け足すとすれば彼は養子であり、同時に優れた才覚を持っている……以上が覚えている限りの情報だ。
何しろとても特徴的な髪型をしていたものだから、こんな詳細に至るまで覚えてしまった。どうせこの場所以外で会う言はないだろうが、きっと損も支障もない。
私がそんな事を考えていると、彼は何故だかこちらに目を向けてくる。目線を逸らすのが間に合わず、かちりと視線が合わさった。
けれどお互い声を掛けるでもなく、凍りついたような沈黙が続く。一応はこっちから微笑んでみたが、彼の仏頂面は変わらない。
…………気まずい。何が悲しくてこんな子供相手に気を遣わなきゃならんのだ、と思うが私も子供だ。
すると彼は近くにいたウェイターを呼び止め、随分と素っ気ない態度で注文を伝える。そしてマニュアル通りの礼と共に消えたのを一瞥し、さも当然のように此方へ向かってきた。
嫌だやめろこっち来るな誰か止めろ、そう必死に念じるも伝わりはしない。っていうかあの子、目が何か怖い。私は彼の気に障る事でもしたのだろうか？
取り敢えず休憩は終わりかなぁと思いつつ、少し身構えるようにドレスの裾を握る。とうとう目の前まで来た彼は挨拶もなしに、
「………お前も退屈なのか」
とだけ言葉を紡ぐと、返答を催促するようにこちらを凝視する。何もかもを見透かしたような、とても冷たい瞳だ。
幼さにそぐわない威圧感は、やはり環境によって身についたものなのだろう。こんな問い掛け一言すら、まるで罪人への尋問のようだ。
少しの間唖然としてしまったけれど、即座に笑みを作って嘘を返す。
『いいえ。とても有意義なパーティーだと思う』
簡潔な言葉は、情報の少なさ故に嘘だと思われにくい。これは単なる私の経験論だけれど、人の本心は案外短い言葉で片付けられるものだ。
おまけに素っ気ない態度をとる事で、これ以上の会話を続ける気はないと暗に知らせられる。態度というのは、時に言葉なんかよりも雄弁なのだ。
……これで、さっさと去ってくれれば良かった。
つまり、彼は去ってくれなかったのだ。
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アインツバル - 橋本アリィちゃんさん» ですが既に手放しかけていた粗末な文へ、こうして温かい言葉を掛けて下さった事 心から感謝しています。末筆ですが改めて、読んで頂きありがとうございました！ (2022年2月26日 14時) (
レス) id: 21e5f63abe (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 橋本アリィちゃんさん» コメント有り難う御座います、反応が大変遅くなってしまい申し訳ございません。前の作品については仰る通りで、私自身の手で消去致しました。応援して頂いたところ本当に心苦しいのですが、恐らく今後これを更新する事はありません。 (2022年2月26日 14時) (レス) id: 21e5f63abe (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても楽しく読ませて頂きました！今後とも応援しています！頑張って下さい！(*´ω｀*)(((後、前の作品が全て消えてるんですが、気のせいですかね？(´・ω・｀)))) (2021年11月6日 10時) (レス) id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 月花さん» はい3コメおめでとありがと大好き…!!()そうそう弱気な吉良ヒ､(幼少期だもの←) コメントはいつだって超絶嬉しいよ…!!本当にありがとう、これからも宜しく！ (2020年8月2日 22時) (レス) id: cbb6f528ce (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 今更感あるけど….シリーズ五本目！おめでとう〜！三コメをいただいていきま〜す(←) ヒロトの名前が出てきたとき、「えっヒロ…吉良ヒ…？…！？」でした、あるちゃんの小説大好きです、更新…無理なく頑張って下さい！！(以上、謎タイミングコメント野郎でした！←) (2020年7月30日 21時) (レス) id: 689878ceda (このIDを非表示/違反報告)
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