・ ページ10
・
「つまり、俺たちだけでは蛇女は倒せねえってか？」
「うん、そういうことね」
体を起こせるまでに回復した佐久間さまと、翔太さま、そして私と亮平さんで食事をしながらこれからについて話し合い。
舘さまも意識は戻ったけど、佐久間さまのように傷の治りが早い訳ではないからまだ床に伏せてる。
ガツガツとご飯を何杯もおかわりして「おかわりっ！」と、これで五杯目になる要求に、お茶碗を受け取って釜の蓋を開けた時に視線が合った亮平さんと苦笑いした。
「はい、どうぞ」
「あんがと！ 手が無いことはねえけど、それでも俺たちだけでは難しいから、ちょっと出掛ける」
「何処に？」
「地獄」
「「地獄ぅ！？」」
おおっと！ 皆の声にお味噌汁をこぼしかけた。
危ない危ない。ずずっ。
「は、地獄って…あの？ マジであんの？」
翔太さまは驚きのあまりお口からお魚がポロリしていて、亮平さんに至っては以前地獄の門を見ているから既に冷静を取り戻していた。
コトッと、茶碗を置いた佐久間さま。
「地獄に行って、あの蛇女の唯一の弱点連れてくるしかねえかなって」
「…いやもう、俺の手ぇ出だすあれもねえな」
何か思う事があるらしい翔太さまは、はあと大きく息を吐いて髪をわしゃわしゃした。
確かこの戦いの発端って、私の嫁ぎ先を決めるものだったはずなだけあり、いつの間にか勝敗とか関係なく命に関わるものにすらなった。
それに嫁ぐとかそんな事より、
「早く、らうるを助けたい」
きっと怯えてる。
私が彼を守ると決めて外の世界に連れ出したんだから、最後まで守らなきゃ。
「大丈夫だよ。らうるは、そこまで弱くねえから」
「……はい」
よしよしと頭を撫でてくれる佐久間さま。
少しだけ小さくなってしまった手でも、その手から伝わる安心感は変わらない。
「それにしてもそれ、どうやったら元に戻るの？」
「ん？ 案外これも気に入ってるでやんすよ！」
ブカブカの着物の袖からちょこっと見える指がピースする。
あの意識を取り戻した日からまた少し小さくなった佐久間さまの見た目は、人間で言えば十五歳くらいでとっても幼い。
本人は身軽で気に入ってるようだけど、私たちは違和感ありすぎだ。
「まあ、戻る方法はあんだけど……」
ん？
何故私を見るのだろうか。
その理由を知ったのは、地獄へ向かう前の日となった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1779人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様、こんにちは(^^)鬼さん血は抜かれるわ、周りに振り回されるは、姫の扱い雑だわで可哀想になってますね（笑）あれ私も彼の担当なのに可笑しいな（笑）最終的には、主役の二人のお話になるので、鬼さんも姫に癒してもらえることでしょう！ (2021年4月6日 13時) (
レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆桃鬼さん、違う意味で大変ですね(笑)( ´ー`) にぎやかなのもいいけれど、やっぱり桃姫ちゃんに癒されたいですよね♪ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様。こんにちは！そうですね、大変な事になっております。いつも展開があっちゃこっちゃになってて着いてきてもらえるか不安です^_^;この次で正解がわかる予定なので楽しみにしててください☆ (2021年3月17日 12時) (レス) id: 29517f669c (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆何か、大変なことに…果たして、どちらが偽物なのか、桃鬼さんと殿様は、見破ることができるのか…どちらもそれっぽく見えるから、難しい〜(>_<) (2021年3月15日 11時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、お待たせしました！よく眠れましたか？心の安定剤とまで言われたら、もう頑張るしかないですね！！更新が開かないように頑張ります！ (2021年2月8日 16時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年12月27日 23時
