お転婆お姫さまと桃鬼さんの珍道中【桃】二

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「「うわ、きもっ」」

「お前らなんか仲良くなってないでやんすか！？」



無数の蛇を見て呟いた私と翔太さまに野次を飛ばす佐久間さま。

それにニヤリと口角を上げて、ふふんと鼻を鳴らすのは翔太さまで、



「お前が居ない間に愛を深め合ってやったわ！！」

「なんだとー！？」

「深めてはない！」

「あのお、お取り込み中のようですけど、とりあえずこの危機を脱しましょうか？」




一人まともな舘様は、私達の前に立って一人蛇に立ち向かう。



「くっ、斬りにくいな」


地面を這う蛇には刀を刺すしか出来ず、なかなか手こずる。



「うわっ！ きもっ！ マジできもっ！」

「きもいきもい言うな」




あ、若干傷付いてらっしゃる？蛇女は自ら攻撃することなくて、蛇を出現させては私達から距離を取る。

そして眠っているらうるの傍らに立つと、らうるを軽々と担ぎあげた。



「ちょっ、らうるを返して！！」

「こやつは我の餌だ。お前達は私の子達と遊んでなさい」

「不味いっ、おい！バカ殿、逃げてねえで、さっさとアイツやっつけろよ！！」

「人任せかよっ！ 助けてやんねえ！決めた、今決めた！ こいつぜってえ助けない！」



太い柱に縋り付く翔太さま。

蛇苦手なのかな？



「姫っ、俺が食い止めてる間に佐久間の鎖を取ってくれ！」


蛇が刀に巻き付く。

それごと振り払っているけど、これじゃあ次々出てくる蛇に殺られるのも時間の問題だ。


ここは逃げるために、佐久間さまを解放するべきだと舘様の判断に従う。




「良いですか！ 後でたっぷりお説教ですからね！」


佐久間さまの下へ行って、吊るされた彼をキッと睨みあげたのに、何故かニヤッと笑ってる。


むむっ。余裕そうなのがムカつく。




「A、早く早く」

「わかってますよ！」



シャラシャラと鎖を解く。


固くて大変だったけど、これで逃げる事はできる。後はらうるだ。



＿＿グイッ



「へ？ ………んッ！？」




鎖が地面に落ちて、両手が自由になった佐久間さまに腰を抱き寄せられたかとおもえば、端正な顔が直ぐ傍にあって唇を奪われる。



ぱちぱちと瞬きをする私は、眉間に皺を寄せた佐久間さまをただ見つめて、



「……はあ、生き返ったわ」

「っ、」



離れた唇から伝った糸をペロリと舐めとって、妖艶に微笑む佐久間さま。

私で栄養を取り戻したらしい。


おかげで私はヘロヘロだ。




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