・ ページ27
・
「Aーーーーッ!!」
耳にキーンと響く音と共に壁が壊れ、その先に肩で息をする乱れた服の佐久間さまがこちらを睨んでる。
男に組み敷かれてる私を見て、言葉にすればかああと頭に血が上るというやつか、全身を真っ赤に染めて飛びかかってきた。
「貴様っ!!」
男の肩を掴んで私から剥がすと、その細身の身体の何処からそんな力が出てるのか、自分より遥かに大きな男を簡単に払い退けてしまった。
私を抱き起こして乱れた着物を見て苦しそうに寄せられた眉。
「ごめんな、ごめん」
頬にそっと触れてくれる優しい手。
やっぱりこの手が好き。
「危なかったですけど。でも、大丈夫です」
このままあなたに抱かれてしまいたいと思ったけど、そうはいかないのが今の現状だ。
何かの気配を感じ取って、佐久間さまはバッと振り返ってさっき自分が投げ飛ばした男を大きな瞳で捉えてる。
「蛇女の匂いだ」
でもそこにいるのは男だけど。
「あはは、間違ってはいないよー。それにしてもあれが火事場の馬鹿力ってやつ? いやー、びっくりびっくり」
壊された壁からひょうきんな声で現れたのは、私たちを此処へ連れてきた男だ。
「こいつはね、もうあの女の毒が体中に回ってんの。ここで男女共に人間の生気を集めて、それをあの女に渡さなきゃ毒を与えてもらえなくて苦しくなっちゃうんだよー、可哀想でしょ?」
だから君たちの生気ちょっとだけ頂戴よ。て、口角を上げて笑って男の頭を撫でる。
その毒って、多分佐久間さまが数日苦しめられた毒だよね。
それをただの人が食らうと、ああやって操り人形のように意志を無くすの?
ただぼーっとそこにいるだけの彼。
怪しい男は「大丈夫だから」と声をかけていた。
この二人の関係は?
蛇女はどこに居るの?
「はっ! 可哀想とか、そいつがどうなろうと佐久間たちには関係ねぇし。 蛇女をとっ捕まえて仲間を助けなきゃなんねぇの!」
「……仲間? て、あのえらく顔の綺麗で背の高い坊やの事?」
「知ってるの!? らうる! らうるはどこなの!?」
驚いて細い瞳を大きくした男は、どう考えても悪巧みを企ててそうな笑みを浮かべてる。
「それ教えたら、お嬢さんの生気ちょっと貰ってもいい?」
「駄目にきま__」
「いいです! いいから早く教えて!」
うわあ、すっごく隣から視線を感じますぅ。
.
1779人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様、こんにちは(^^)鬼さん血は抜かれるわ、周りに振り回されるは、姫の扱い雑だわで可哀想になってますね(笑)あれ私も彼の担当なのに可笑しいな(笑)最終的には、主役の二人のお話になるので、鬼さんも姫に癒してもらえることでしょう! (2021年4月6日 13時) (レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆桃鬼さん、違う意味で大変ですね(笑)( ´ー`) にぎやかなのもいいけれど、やっぱり桃姫ちゃんに癒されたいですよね♪ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様。こんにちは!そうですね、大変な事になっております。いつも展開があっちゃこっちゃになってて着いてきてもらえるか不安です^_^;この次で正解がわかる予定なので楽しみにしててください☆ (2021年3月17日 12時) (レス) id: 29517f669c (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆何か、大変なことに…果たして、どちらが偽物なのか、桃鬼さんと殿様は、見破ることができるのか…どちらもそれっぽく見えるから、難しい〜(>_<) (2021年3月15日 11時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、お待たせしました!よく眠れましたか?心の安定剤とまで言われたら、もう頑張るしかないですね!!更新が開かないように頑張ります! (2021年2月8日 16時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月27日 23時