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「んじゃあ、行きますか!しっかり掴まってるでやんすよ?」
「はい!」
今回は地獄へ行くということで、人間である翔太さま達はお留守番となった。
翔太さまは行くと言い出しそうだったけど、翔太さまが行くと言えばきっと療養中の舘さまも行くと言いだすだろうから良かった。
『A、気をつけて行けよ』
『はい。佐久間さまが一緒なので大丈夫です』
この言葉は自然と出てきたものだったけど、そう言った時、私に伸びていた手はすーっと引かれて、それを見て少し気まづくなってしまった。
佐久間さまの腕に抱えられて、ひょいひょいと木の上を渡る。
「殿さまの事気になんの〜?」
「え?」
見上げると風によって、ふわり、と持ち上がった前髪。そのおかげでよく見えた表情はブスっと拗ねているように見えた。
「駄目だよぉ? Aは佐久間のもんだからね」
「ふふ、もちろん」
「あ、こっからちょっと道が荒くなるからしっかり掴まっててねぇ。腰に響いたらごめんよ(笑)」
さすさすと腰を摩られて、昨晩の事を思い出しては頬が熱くなった。
ほんと意地悪なんだからっ!
林を抜けると岩肌目立つ崖がそそり立つ。
ここを登って行くのか、と少し怖くなって佐久間さまの首にぎゅっとすがりついた。
「大丈夫。絶対落とさねえから」
ぐっと一瞬身体が沈み、次の瞬間にはぐわんと宙を舞っていた。
ほんと身軽だなぁ。
ひょい、ひょい、ひょい、と岩を着地してはまた飛んでを繰り返し、随分高くまで登ってきた。
「ふぃぃ、そろそろかなっと! ととと…うわっ」
「きゃっ!?」
もうすぐ頂上につく一歩手前の岩でバランスを崩し、その拍子に腕がズルッと外れてしまい佐久間さまから体が離れかける。
あ、どうしよっ……!!
落ちると思って固く目を閉じた時、ぐわっと下から風が巻き起こり体が浮く感覚がした。
「あっぶねえなぁ。佐久間、お前大事な姫さんちゃんと守れよ」
「照ぅ!!」
大きな翼をバサッと羽ばたかせ、悠々と空に浮かんでいる天狗さん。
「大丈夫か?」
「は、はい!ありがとうございます」
にっと笑うと、強面の顔も一気に親近感のある優しい笑顔になる。
その笑顔に安心して笑い返す私をそっと地面に下ろしてくれた。
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ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様、こんにちは(^^)鬼さん血は抜かれるわ、周りに振り回されるは、姫の扱い雑だわで可哀想になってますね(笑)あれ私も彼の担当なのに可笑しいな(笑)最終的には、主役の二人のお話になるので、鬼さんも姫に癒してもらえることでしょう! (2021年4月6日 13時) (レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆桃鬼さん、違う意味で大変ですね(笑)( ´ー`) にぎやかなのもいいけれど、やっぱり桃姫ちゃんに癒されたいですよね♪ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様。こんにちは!そうですね、大変な事になっております。いつも展開があっちゃこっちゃになってて着いてきてもらえるか不安です^_^;この次で正解がわかる予定なので楽しみにしててください☆ (2021年3月17日 12時) (レス) id: 29517f669c (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんにちは☆何か、大変なことに…果たして、どちらが偽物なのか、桃鬼さんと殿様は、見破ることができるのか…どちらもそれっぽく見えるから、難しい〜(>_<) (2021年3月15日 11時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、お待たせしました!よく眠れましたか?心の安定剤とまで言われたら、もう頑張るしかないですね!!更新が開かないように頑張ります! (2021年2月8日 16時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月27日 23時