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「あれだね」
手紙に書いてあった方角へとりあえず進み、適当すぎる地図をこうでもああでもないと解読しながら三人で山を彷徨う。
途中らうると出会った大通りを通ってきたけど、らうると出会った場所という事は近いのかも知れない。
そして林を抜けた先に古びた民家が数軒、その背後に大きな屋敷が一軒。
あまりにもボロいけど、ところどころに人が住んでるような形跡は感じられる。
「ここに佐久間さまたちが居るんですかね?」
「手紙によれば、まあここだな」
このまま乗り込む事もできなくはない。
三人で助け出せるだろうか、と悩んでいれば舘様に肩をとんとんとされる。
「気は焦るかもしれないが、とりあえず下山して話を聞いてみよう」
「………」
振り返ると、翔太さまも同じ考えらしく小さく頷いている。
そうだね。何も情報がないまま敵地に乗り込むのは危険すぎる。
ここで何かがあることは確かなんだから。
佐久間さま、らうる、もう少しもう少しだけ頑張って。
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「あ、こんなところに芋が落ちてた」
下山して、ただの通りに何故か大中小の芋が転がっているのを発見した。
翔太さまは「後で食うか」と、それを持って歩き出す。
「盗っ人だ! また盗っ人が出たぞ!」
「お前さんのとこもかい。こっちも荒らされたよ。まったくお役人達は何をやってるんだか」
「このままじゃあ今期も収穫も期待できやしねぇぜ」
「それもあるけど、私たちが先に餓死しちまうよ!」
わあ、なんとも物騒な話をしている。
村に入ると口々に畑を荒らされただの、家に盗っ人が入っただの気の滅入る会話しか聞こえてこない。
「町奉行所の方から報告は上がってんのか?」
コソッと翔太さまが舘様に尋ねたが、舘様は「いいえ」と首を振る。
多分だけど二人が出て来た後で被害が酷くなったんじゃないのかな。
この二人、本当にここに居ていいの?
今更不安になってきたなと溜息を吐いたら、ヒソヒソと潜めた声に多くの視線を感じる。
「え、なに?」
「桃姫、こちらへ」
手を引かれ、舘様が私たちの前に立った。
「芋だ、あいつ芋を持ってるぞ!」
「ありゃ今朝うちでなくなったやつじゃねえか!?」
ん? と、私と舘様が翔太さまの持っている芋へ視線をやった。
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (2020年12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時