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らうるの話は分かったけど、果たしてその男は本当に生きてるでやんすかね。
妖怪が用済みになった奴を生かしておくとは思えねえけど。
やっぱりそれこそが罠?
らうるを捕らえて奴らは何がしてえんだ?
「ねえ、さっくん。そろそろ退いてくれない? 足が痺れる」
「んにゃ? らうるのでもないよりマシなのになー」
ずっと寝たきりで体が痛むから、らうるの膝を借りてたけど、本音を言えばAのやわやわな膝枕が良いよねぇ。
らうるの大切な人の話を聞いているうちに、佐久間もAに早く会いたい気持ちが募っていく。
さっさと解決してずらかるかい。
「っよっと!!」
「え、起きて平気なの?」
「匂いくらいならなんとか。くらくらするけどねぇ」
縛られていた縄をブチブチと裂いて、ついでにらうるのも解いてやった。
うっわー、赤くなってるし。
佐久間さんのお肌はデリケートでやんすからね? もっと大事に扱ってほしいもんだわ。
「ここから出るの?」
牢屋の前に立っていたら、不安げな声が頭の上からする。
デカいんだよな。ぷー。
「……出る! じゃねえと、前へすすまねえ……だろっ!」
鉄の棒を握って、ぐんっと力を入れたら容易く折れた。
人間の作ったもんだったらこんなもんだよねぇ。
「忘れそうだったけど、さっくんって鬼だったよね」
「今からでも佐久間さまと敬ってくれていいけど?」
「あ、さっくん!こっちこっち!」
「おおいっ!」
佐久間より先に出るやつある?
でもまあ、此処に詳しいのはらうるの方だろうし仕方ないから道案内させてやろう。
どうやら地下洞窟だったらしくて、ゴツゴツした石段をもう何段も上がってる。
でも不味いな。このまま誰にも会わずに出口へ出れたらいいけど、この一本の階段は逃げ隠れできる場所がないでやんす。
くんっ、と鼻が反応した。
「らうる、下がれ」
「え?」
前を歩いていたらうるの手首を掴んで後ろに下がらせると、匂いの先……つまりはすぐそこの出入口に向かって駆け上った。
扉が開くとほぼ同時、中を覗いた奴らの首を目掛けて爪を伸ばす。
「うがっ」
「ぐっ」
シュッパァァと飛ぶ血飛沫。
動脈切ったから、多分助からねえよな。
良い奴か悪い奴かも分からないけど、ごめんなってせめてもの償いで開いたままの瞼を下ろしてやった。
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時