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「なあ、」
「はい?」
「Aは、あいつと結婚するのか?」
あいつとは、佐久間さまのことだろう。
佐久間さまが翔太さまに何を言ったのか分からないけど、私の答えは決まっている。
「いつかそうできたらいいと思ってます」
「……そうか」
「ごめんなさい。ちゃんとご挨拶に伺っていればわざわざ来ていただく事もなかったのに」
この村には寝ずに馬を走らせたとして一日半はかかる。
お供に舘様だけを連れたのはきっとそれだけ急いで来てくれたんだろうなって。
本来なら籠に乗って、家来を沢山引き連れてやってくるご身分だ。
「あの、….きゃっ」
返事がないので気になって顔を見ようとしたら、ガシッと手首を掴まれてそのまま引っ張られてしまう。
濡れることなんて構ってもくれず、翔太さまの膝の上に乗せられてしまった。
細い体をしていてもやはりそれなりに鍛えているのか、視界に入る胸や腹には筋肉が程よくついていて目のやり場に困ってしまう。
「謝るな。俺が会いたくて来たんだ」
「翔太さま、」
「A、俺は本気だぞ。お前が嫁に来るというなら、他に妻なんて娶る気はない。生涯お前だけを愛すと誓うぞ 」
お殿様だから、必ずしも一人だけの妻である必要はないって聞いたことがある。
子を残すためや政略的なことから複数の妻が居ておかしくないのに、私だけが良いと真っ直ぐ見つめられて、
お風呂の湯気で暑くなっているからか、それとも翔太さまのせいなのか暑くて……
「A、俺を見ろ。鬼よりも人間を選ぶべきだろ」
「…….しょ、」
「うりゃあああっ! この変態糞ったれが〜!佐久間のもんに触んじゃねえ!!」
どこーん!とけたたましい音と共にお風呂場の壁と、佐久間さまが飛び込んできて私と翔太さま、見張りをしていた舘様は目が点状態。
「……っ、」
突然現れた佐久間さまは唖然としている翔太さまから私を奪うようにして抱き抱えれば、いーっ!と歯を剥き出して威嚇している。
「っくしゅ!」
この村一帯は年がら年中、心地よい気温を保っていてくれる素晴らしい土地だけど、それでも夜は冷える。
そんな中上半身濡れた状態で外気に触れた翔太さまは、見るからにぶるぶると震えていて、それを見て私の顔は顔面蒼白だ。
「な、なんてことするんだー!!」
ばちこん!と、佐久間さまの頭を叩いたのは言うまでもない。
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (2020年12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時