▼第六章 愛すべき者のため、 ページ1
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「死神って特に感情を持ち合わせないのよ。生き物の生を奪う事で生きてるから、感情があるとそれが出来なくなるんだって。だから俺もそうだった______」
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「おうふっか、また仕事か?」
「またってぇ、あんたでしょ。俺に休みをくんないのはさぁ?」
今より少し若い閻魔は俺とガキの頃からの腐れ縁のようなもので、自分が父親の仕事を継いで地獄で死んだ者たちの行末を決める仕事に就いた時から、俺は死神として閻魔のもとへ魂を送る仕事に就いた。
寿命が近い生き物なら何でも奪いに行くのが死神の役目だけど、植物から虫、動物、妖怪そして人間と魂を奪うにも難しいものがあったりする。
感情がないものの方がすんなり仕事は片付くんだけど、欲が多い人間はそれはそれは死にたがらないものが多いからさ、死神も強いやつの方がより難しい奴相手に取り憑きにいくわけで、
「だってよぉ、お前の仕事は早いし魂が傷つかずに送られてくっから、こっちでの仕事も早いのよ」
魂が傷つかないってのは、この世に未練を残させないようにするって事で、未練がある奴を連れて行くとまあ地獄で暴れるらしくてね。
なかなか天国行きか地獄へ留まらせるか決めるのに時間がかかるんだってさ。
だから俺はなるべく時間を掛けずに未練を解消させて閻魔のもとへ送ってやるようにしてる。
「だからってもう五年は旅行行ってないよ俺。もう少し俺を労わってくんないとさぁ」
最近は腰だって痛くて、もうそんなに若くないんだから扱き使わないでもらいたいよ全く。
「じゃあ次の仕事終わったら、長期休暇やっから頑張ってくれや!」
「へいへい。ほんじゃあ行ってきましょうかねぇ」
てなやり取りを経て俺はまたいつものように地獄を出て魂を奪いに行ったわけ。
さあて、次は誰だ誰だ?
懐からメモ帳を取り出して、ペロッと指を舐めて紙を捲った。
「へえ、あの女ねぇ……」
木の上から見えるのは、貧しくもなくかといって栄えてるわけでもなさそうな小さな村。
「こらあ!あんたっ! それは売り物なんだから勝手に食べるんじゃないよ!」
美味そうになってる夏野菜を勝手にもぎ取って食べてる亭主に怒りつつも、次には笑って握り飯を渡してる女__京子、それが今回のターゲットだった。
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ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様、有難うございます!私もそろそろ終わるなって頃になると、楽しみと同時に寂しくもなります(>_<)寂しいと思ってもらえるのも褒め言葉と受け取り次に活かします!私の好きなお稲荷様と共演させてもらえて私自身が多分一番喜んでますね(笑)宜しくお願いします! (2021年4月17日 18時) (レス) id: e0fcc6876b (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!桃鬼さんのお話大好きだったので終わるのは寂しいですが。。最後にまりんさんのお稲荷サクマ様が登場しましたね!あのサクマ様も好きだったので嬉しかったです☆また次の作品も楽しみにしてますね! (2021年4月17日 16時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - Yukari紫さん» こちらでも有難うございます(^^)嬉しいです☆大好き、私も大好きでございます☆2日続けてシリーズ終わってしまいましたが、新作も公開してますので良ければよろしくお願いします(^^) (2021年4月16日 8時) (レス) id: 4eb798e005 (このIDを非表示/違反報告)
Yukari紫(プロフ) - 完結おめでとうございます。昨日黄色さんのお話の方でもコメントさせて貰いましたが別作品なので改めて!ゆきんこさんの作品大好きすぎてこちらもリアルタイムで追っていました笑2つの楽しみが終わってしまい悲しいですがまた素敵な作品待ってます! (2021年4月16日 0時) (レス) id: 1087d4c16f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - もか。さん» ありがとうございます!!皆さん大好きまりんさんですね(^-^)喜んでもらえて私が嬉しい☆ハピエンにはしたかったので、それぞれの幸せの形で書かせてもらいました。涙したと言っていただけて有難く思います(^-^) (2021年4月14日 7時) (レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年4月8日 16時