殺し屋として暗殺者として…【暗殺教室×博多豚骨ラーメンズ】 (ページ45)

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another story.1 宇宙の目ページ45

物心ついたときから孤児院にいた

孤児院の扉の前に毛布にくるまれていたのを姉さんが見つけたらしい

姉さんは孤児院生の中の最年長で孤児院の手伝いをしたり、僕らと一緒に遊んでくれる優しい人だ

僕らは姉さんと孤児院が大好きだった

だけどそれは虚構でしかなかった

ある時、僕は夜中にトイレに行きたくなり、大寝室の扉を開けた

僕らが眠る第3大寝室からトイレの間には、施設の人たちが暮らしたり、休憩するための“staff room”がある

その場所を通りすぎようとしたとき、信じられない会話が聞こえてきた

──それは、僕らが商品だと言うこと

嘘だ。真実じゃない。信じられない。信じたくない

どんなに否定したくても、次から次に現実だと思っていたモノが施設の人たち(彼女ら)の言葉でバラバラと崩れていく

今考えれば、可笑しいと思うことはたくさんあった

多すぎる孤児院生に、月に出ていく人数

途中から入ってきたのにも関わらず外界の記憶を思い出せない子に、限られた情報

そして、僕らの名前(番号)

それでも僕らが“可笑しい”と思わなかったのは施設側が上手く隠していたからだ

あのときの僕はひどく混乱していたらしい

僕は叫びたくなるのをなんとか抑えて、自分の布団に戻った

潜り込んだ毛布の中では自身の息切れがやけに大きく聞こえて、息をしていなかったことに気づいた

人は驚きすぎると息が出来ないことを初めて知った

＿＿

数日後、僕はこの事を姉さんに相談した

話さない方がいいことは分かっていた

それで自分一人で抱えるにはこの事は重くて、僕自身も幼すぎたのだ

全てを隠して笑う、なんてできるわけなかった

包み隠さず話した僕に、姉さんは涙を潤ませながら真実を話してくれた

姉さん自身も施設側のミスでこの事を知ってしまったこと

施設の手伝いを強いられていること

施設の本当の姿

これらは彼女が悪事に手を染めていることを指していた

目を背けようとしていた事実が形のあるものに変わっていき、恐怖が芽生えた

震えだした僕に姉さんは、出来るだけ施設の手伝いをすることを約束させた

悪事に関わる手伝いではなく、母親が子供に頼むようなほんの小さな手伝いをすることを

そうすれば少しはマシな場所に売られる

私はそれを間近に見てきたのだ、と

姉さんは僕が秘密を知ってしまったことを施設に話さないつもりのようだった

それから僕は姉さんとの約束を守るために努力を始めた