殺し屋として暗殺者として…【暗殺教室×博多豚骨ラーメンズ】 (ページ40)

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episode.37 真と偽ページ40

「そういえばさぁ」

榎田が調べながら口を開いた

「くろ…蓝(ラーン)くん、知ってた？
君、地元の方たちに“白狐様”って言われてるらしいよ」

『は？』と間抜けな声が出そうになるのを喉に力を入れて止める

「君が助けた人たちが広めたみたい
“ある人が助けてくださった。アイツらは狐とか叫んでたけど、ただの狐じゃない。福をもたらしてくれると言う白狐様だ”ってね」

榎田がこちらを振り替えりながら「人気者だねぇ」とニヤニヤしている

彼のハッキングの技術を目で見て盗もうと思い顔を近づけていたので、ムカつく顔が目と鼻の先にある

殴ってもいいなら殴ってやりたい

だけど、それよりも…

助けた、というより結果的に助けることになった彼らのことを思い出す

助けるつもりなんてさらさらなかった

ただ、ヤツらに無理やり働かされていたり、売買されようとしているのを放っておけなかっただけだ

彼らは僕と違って、何の罪もないのだ

兵器として育てられ、自分の大切な人を殺し、自らの意思で何人もの人を殺めた僕と違って

だから、“白狐様”なんてお偉いものでも何でもない

白い毛色を持つ霊狐であり、古代中国・日本において瑞祥をもつ獣として人々に福をもたらすとされて来たものと、人に化け、信頼を得てからそれを利用する狐(ぼく)とはえらい違いなのだ

「でたよ」

榎田の言葉にハッとする

物思いにふけりすぎて、彼の技術を目の辺りにしながら見流してしまった

本当に何をやっているんだ、僕は

「もうでたのか？
こりゃ、セキュリティシステムをもっと強化しなきゃダメだぞ」

「刑事さんにそう言わせるなんてすごかねぇ
何やっとるんか、いっちょんわからん」

馬場と重松が後ろから僕の個人情報(データ)を覗き込んでくる

僕も一緒に画面を見ると、その内容に唖然としてしまった

『…何も書いてないじゃないか』

画面のなかで僕は両親を亡くしてから、日本の施設に預けられた後、中国にいる親戚に養子になり、今もそこにいることになっていた

ふざけるな、と叫びたくなった

アイツらに甲斐甲斐しく育てられた覚えはない

あの時のことを考えただけでも虫酸が走る

もう全てを忘れたくなってしまった

『榎田くん、僕の新しい戸籍を作ってください。お金は払います』

「ボクはいいけど…」

僕はそれだけ聞くと机にうつ伏せになり、眠りについた