episode.25 馬場探偵事務所 ページ28
馬場探偵事務所──また車に乗せられ連れてこられた、5階建ての古いテナントビルの3階の窓にそう書かれていた
まさか…
『この3階の事務所って馬場さんのですか？』
「そうばい それがどうかしたと？」
あーーー。
マジか
ちなみに1階はコインランドリーで、2階は家庭教師派遣の事務所だった
「行くばい」と声をかけられ階段で3階まで上がる
馬場探偵事務所のドアの前には不自然に置かれた植木鉢があった
何でこんな微妙な配置なのだろうか…、と思っていると、あろうことか、馬場はその鉢を持ち上げ、その下から鍵を取り出した
不用心だ
日本人のこういうところはいつまでたっても理解が出来ない
馬場が鍵を開け中に通させられると、目の前に広がる光景に絶句した
そこに広がっていたのは……
なんとビックリ
正真正銘の汚部屋だった
あまり広くはない部屋は、パーテーションで半分に区切られている
入り口のある方には、スチール製のデスクや応接用のソファとローテーブルがあり、それなりには片付いている
問題は残りの半分のスペースだ
ゴミ屋敷──その言葉がうってつけだ
ソファの上には脱ぎ捨てられた洗濯物が山を築き、テーブルの上にはコンビニ弁当やカップラーメンの容器が放置されている
ベッドもあったが、布団はぐちゃぐちゃ
小さなテレビには埃が積もっている
汚すぎる
あまりの汚さに目が覚めてしまいそうだったが、あくまで“しそうだった”だ
すぐさま強い睡魔が襲ってくる
意識の向こう側から馬場が何かを言っているのが聞こえたが、それどころではなかった
僕はフラフラと応接用のソファに近づき倒れこんだ
僕の意識はそこで途切れた
──
夢を見た
久々に見たいつもと同じ夢だ
僕はその夢の中でモノクロな世界を歩いていた
そこには人もたくさんいた
でも、それは僕にとって真っ黒な人形にしか見えない
信号機を待つ人も、車に乗っている人も、友達と買い物をして楽しそうな人も、みんな
僕にとってはただの人形だ
そんななかカラフルで人形ではない存在に会った
両親と
3人で楽しそうに笑っている
いつも通りだ
でも違うところがあった
何体かの人形が徐々に色づいていく
何故か、見覚えのあるヤツらだと思った
episode.26 カオス→←episode.24 “泊まりんしゃい”
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星奈 | 作成日時：2018年10月13日 10時
