episode.18 仲介屋 ページ20
暖簾をくぐるとと大将らしき人が「いらっしゃい」と声をかけてくれた
しかし、すぐにスマホを弄っている
何かあったのだろうか
他の客はいなかった
落ち着いて仕事の話ができそうだ、と思っていたところに新しい客が来た
タイミングが悪い…
「いらっしゃい…ってなんだ馬場か」
「なんだとは何ね!?
てゆーか、おやっさんどけんしたと？なんか慌てとるみたいやけど…」
20代後半くらいの
髪がモサモサしている
ちょっとだけ触ってみたい…
観察しながらカウンター席に座る
「それがな…」
と、こちらに聞こえないように馬場という
だけど無駄だ
施設の訓練では聴力を上げる訓練や読唇術は習っている
僕は意識をそちらに向けた
「お前“中国・裏組織壊滅事件”って知っとーちゃね？」
「あぁ、あの中国の裏企業として疑われていた組織が一晩で潰された事件やね
それがどうしたと？」
あ、僕のことじゃないか
「その犯人がここに来るらしいんよ」
「なんやって!?」
「大丈夫なんか!?」と心配そうにしている馬場さん
仲介屋がそんな話をするあたり、彼もまた僕の同業者なんだろう
あの情報屋、僕がここに来ること言ってたんだ
有り難いなぁ…、と心のなかで思う
言ってくれていた方が話が通じやすい
そういえば多分あの人ら、僕の存在忘れてね？
見た目は中学生くらいでも一応お客さんだよ？
接客はちゃんとしなきゃ…
でも、…
ガタッとおもむろに音を立てて席を立つ
もう自己紹介しても良いよね？
『こんにちは!
僕があなた方の話している“中国・裏組織壊滅事件”の犯人──“黒狐”です
どうぞよろしく!!』
「「はぁｯｯｯ!?」」
今度は2人が音をたてる番だった
「何言いよーと？どう見たってあんた、中学生くらいの男の子じゃけん…」
『そっちこそ何言ってるんですか？普通のただの平凡な中学生が、あなた方がヒソヒソ話しているのを聞き取れるとお思いで？』
「「あ…」」
間抜けた顔になる2人
ようやく分かったようだな…
『ていうことで大将さん、僕に仕事をください』
僕は飛びっきりの笑顔で言った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星奈 | 作成日時：2018年10月13日 10時
