episode.9 考試 ページ11
1ヶ月に一度、施設では試験が実施される
【月例考試】というものだ
科目は学科と実技に分かれ、主に日々の授業や実習で教わってきたことや、その応用問題が出題される
同室2人の点数が合算され、成績の優秀な組には褒美が与えられた
その褒美は僕らがほとんど頂いてきた
僕らはこの施設の首席だった
それでも他の
この試験の結果は、将来の就職先に大きく影響したからだ
あまりに成績が悪ければ、“使えない兵器”というレッテルが貼られ、買い手がつかなくなってしまう
最悪の場合は“死”だ
どう足掻いても危険な職なのは変わりはないが、端から死が定められているよりかは幾分良い
考試の学科は、【教養】【語学】【戦闘および暗殺における知識】【記憶能力・観察能力】の
4科目だ
世間から隔離されている自分たちが、再び社会に戻っても差し障りなく生きられるよう一般常識から、世界情勢、複数言語の読み書き、武器の使い方や人体の急所などの実践に必要な事柄まで、出題は多岐にわたる
これらの学科が全科目終了したところで、考試は実技に移る
実技はおおまかに【身体能力】【射的】【実践】の3科目だった
【身体能力】と【射的】は想像がつくように謂わば、“体力テスト”と“銃操作”だ
【実践】はフェンスに囲まれた逃げ場のない空間での、生身の人間との戦闘
賭けボクシングのボクサーや軍人、武術に長けたものなど、相手は様々だった
また、僕の場合、ハニートラップなどの技術も試された
相手がイェラビッチお姉様だったのは少し嫌だった
それでも僕らは負けなかった
僕の場合、それらを“人形”として見ていないから尚更だ
生身の人間だと…僕と同じ、血の流れている命がある者と思うからいけないのだ
そう考えてしまえば相手の痛みを想像してしまう
刺した感触が手に残る
“人形”と思えば上手くいく
そんな風に考試をくぐり抜け、入所してから4年と数ヶ月が立った日
また月例考試が始まった
筆記科目は今回も上手くいった
しかし…
今回の実技は難しそうだ
なんたって相手はあの教官だったのだから…
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作者名：星奈 | 作成日時：2018年10月13日 10時
