【QK】五重奏の鍵 (ページ48)

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おまけページ48

【待てができない】
須貝視点

「河村が拗ねてるだぁ？」
「そ、こうちゃんがなかなか出てこなかった(※ちゃんと10分以内です)だの、こうちゃんが時間に厳しいだの」

…と、ふくらさんは言った。さっきまで疲れ切っていた顔が良くなっている。
「俺は別に待てるけどなぁ。そりゃあ伊沢は心配だけど、みんなやってそうだし…」
「何、僕のことバカにしてんの？煽ってんの？」
いつの間にか背後にいた河村が低い声を出した。演技だけど怖い。
「ちゃうって」
するとソファの方で福良さんがニヤつく。
「じゃあ俺須貝さん来る前に入ってるね。1時間」
「福良さん、あのねぇ…。はい、こうちゃんは笑わなーい！」
つぼに入ったようで、デスクで腹抱えて笑ってる。
「明日が楽しみですね」
なんなんだ。いいよ1時間でも、待ってやる。
____________________

福良さんは先に行き、俺は山本と病院に向かっている。
山本は終始暗くて、メンバーで一番悲しんでいると言っても過言ではない。
でもそうだよな…事故の瞬間を見てしまっているんだから。

____病室にたどり着く。福良が出てきて、山本が入れ替わりではいった。

…5分後
「福良さん、どうやった伊沢は」
「割と元気。声があれかな…」
「そっか」

…11分後
「山本遅いねぇ。さて須貝さんはどこまで耐えれるでしょうか〜」
こいつ…。笑いやがって…
ドアに近づけば山本の話声が聞こえる。しっかりと話していて、もう10分は必要だと悟った。まじかよ。

19分後…
あれからドアで話声を聞いている。盗聴みたいだが、内容まではわからないのでセーフ。
「いらいらしてるねぇ」
と福良が笑う。
…話声が聞こえない。終わったか、ならもう出てくるから待つか…

…なかなか出てこない。え、山本？俺のこと忘れてる？もう待てないよ？入るよ？
「結局待てないんじゃん。須貝さんも心配なんでしょ」
「いや心配してるけど、って言ったよ…。つーか」

ガラッ

「時間超えてんだけど」
勢いよくドアを開けたかったが、流石に病院なのでやめた。
「あっ…ごめん」
山本が謝る。お前は別に謝ることないのに。
「いいけど、話すこと無くなったんなら変われや」
「ごめん…」
「良いって言ってるでしょ！」
廊下からは、『須貝さんキレ気味だったよ〜』と福良の声。
「山本！怒ってないからね。福良はデマを流すな！」
この人ったら…疲れてないな。

なかなかドアは閉まらなかった