【QK】五重奏の鍵 (ページ40)

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考えたことページ40

部屋には居ないのだろう。少し遠くで河村の声が聞こえた。
「そうか、よかった

　元気そうだね。」
伊沢拓司。と、付け加えた河村拓哉はニヤついた顔していた。
お前なぁと思いながら笑った。声は出なくて顔だけだけど。
「やっぱり元気そうだね。笑えるぐらいには」
そりゃ早く戻りたいからな。
「早く帰ろうとしないで、お前は休め」
「えっ」
俺声に出てなかったよね？
「伊沢の考えてることはわかりやすいよ。…目は口ほどに物を言う__ってね」
そういえばこんな奴だった。お前も休め。

「どう？声が出ないのは…乾いてるから？」
「い、ゃ」
「ふーん。声帯は早く治せ」
無茶言うな。
「10分この部屋に入れるんだけどさ、残り時間ここに居るね」
「ん」
捻くれてるけど、なんだかんだ善人だよな。河村は…

本当に河村はただそこに居るだけだったが、それでも俺は嬉しかった。河村が作った静寂は、河村によって破られた。
「…考えたんだけどさ」
「うん？」
「一昨日、福良が伊沢が事故に遭ったってメディアに言ったんだよ。そしたらさぁ、［伊沢さんがいなきゃクイズノックじゃない！］みたいなのがあって、…お前には悪いけど、それでもクイズノックというのは変わらないわけじゃん？どうだろう…伊沢は。自分だけでQuiz Knockを背負うのは…」

「…かゎ」
「わかってるよ、“テセウスの船”。
　そしてそれに近いパラドックス。答えを出すのは難しい」

「けど、だからこそ考えたいよね…」
河村…

ガラ
「河村さーん？？終わりですよー。」
こうちゃんが扉をあける。
「もう少し！！」
「俺は時間どおり終わってやりましたが？」
「くっ…！」
「はい、時間切れ」

「じゃあ伊沢さん。また明日…来れたら来るんで」
「お大事にー」

__と、賑やかな2人は帰っていった。