【QK】五重奏の鍵 (ページ39)

今日:20 hit、昨日:44 hit、合計:12,551 hit

願いは叶うページ39

…っざわさん！」
「伊沢さん！！！」

「！？」
え？え？え？え？何？？急に起こされたんだけど。
「__ょかっ、た」
真横に居たのは泣きじゃくるこうちゃんだった。

こうちゃーーーん！！会いたかったよー！！と、言いたかったが俺の口は
「お゛ぅ、ちゃ…ん！」
母音しか話せなくなっていた。
「はぃ、は、い…こうちゃんですよ……良かった、目が覚めて」
「あ…ぅ、なよ…」
泣くなよ、なんて言いたくても声は不気味なものだった。
「は、泣いてま、せんよ。っいや、嬉し泣きです…」
俺が言いたいことは母音だけでも(後半ちゃんと声になってたけど)伝わったようだ。さすがクイズノック。

「…これから、面会の時間に仕事が被るんで…最初のほうに面会に来たんですけど…言いたいこと、いっぱいあったのに、忘れちゃいました。あ、仕事のことは大丈夫です…詳しくはふくらさんに聞いてください」
「ぅん」

少し沈黙が続いた。
こうちゃんは顔を合わせてくれない。
「…俺、伊沢さんが運ばれたとき、ついつい叫んじゃったんです。大人気ないけど…かえってきてくださいって…だから、本当によかった…！」

それは…

「あ、退院したら、ゲームしましょうね。」
そう言ってこうちゃんは面会の時間制限が終わったらしい。帰っていった。

ガラ、とドアが開く音がする。
「こうちゃん！伊沢どうだった？」
「あぁ声が出てないですけど…表情は変わってなかったです。たぶん考えてることもいつも通り。伊沢拓司でしたよ」

「そうか、よかった。元気そうだね」