【QK】五重奏の鍵 (ページ18)

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Yの間ページ18

yawn…？
欠伸…？あくびをするだけでいいんですか？
そう考えながら扉を閉めた。

振り向くと花畑だった。
地面一面に空色の花や橙色の花が咲いている。
「なんで花…？」
知らない花だ。形はネモフィラっぽいけど、こんなに色はない。浅葱、橙、藤、若草、蘇芳、山吹…

ホントにここは欠伸くらいしかやることがないな。
他に物がないのか探索することにした。花が集まった場所は踏まないようにしながら、ぐるりと周ってみる。

…さっきの須貝さん(多分)のボール速かったよなぁ。さすが得意な球種…
…あれ、今得意な球種っていった？あの時は違う言い方ができたよな？

…____何だっけ。

ついさっきの事じゃないか。忘れてるなんて。ありえない。

「いや、こんな日もある。だって…今までのでもう、精神はやられてるんだから……」
自分に言い聞かすようにしながら、俯いた。足元では橙色の花が、俺のことを笑うように揺れている。
　“じゃあ、ジャック・オ・ランタンは？”
と、言われているようだった。
「そん…なの、もちろん……」

『思い出せない』なんて、言えるわけなかった。