＊ ページ16
「そっか………俺でも大丈夫…じゃないよね。恥ずかしいよなぁ」
「う、ううん！大丈夫だよ、…だってひとらんは変なことしないでしょ？」
私がそう尋ねると、ひとらんは笑いながら答える。
「あはは、そうだなぁ…いつもだったらしちゃうけど、今日はAの袴姿が早く見たいからしないでおくよ。」
そう言うと彼はゴソゴソと準備を始めた。
「これ着てくれる？着物の中に着るやつなんだけど…」
彼のわかりやすい説明と手助けのお陰か順序よく着付けられていき、15分立たないくらいで着物の着付けが完了する。
「ふぅ。A、キツくない？動きにくくない？」
「うん大丈夫。心配してくれてありがと。」
「なら良かった。じゃあ、袴履こっか。」
彼は深い緑色の袴を手に取り、それからいくつかの帯と合わせ始めた。
「帯は……うーん……黄色かな。」
くるくると腰に帯が巻かれたあと、袴に足を通した。
彼の手によって、きっちりまとめられたその袴は自分でもびっくりするぐらい美しかった。
「……すごい、綺麗……。」
「うんよく似合ってる。」
にこりと笑った彼は今度は私を椅子に座らせた。
「……？ひとらん、これは？」
「髪、やったげる。可愛くするから。」
私はまた顔をほころばせる。彼は手が器用だから様々なアレンジをよくやってくれるのだ。
「……本当に髪質いいよね。というか肌も。健康な証拠だよ。」
「そうかな？食べてる物は皆と一緒だよ？ほら、ひとらんが育てた野菜とか。」
「あはは、俺のおかげかな。」
そんなたわいもない会話をしているうちに彼の手が止まった。
鏡を見ればアレンジが終わったようだ。
「わぁぁぁ…ハーフアップ！！」
「そう。やっぱ袴にはこれが一番でしょ。」
ふふん、とドヤ顔の彼。くるりと一周見ていると、彼の小さなイタズラに気がついた。
後ろのハーフアップを止めているところのバレッタ。そのバレッタのリボンの色が白いことを私は見逃さなかった。
ひとらんの方を向いてみると、私がリボンを気にしている事に気がついたのか、ニヤッと笑っている。
「印だよ印。俺が着付けましたっていう。ほら野菜に生産者の顔のとか貼るじゃん。」
野菜と同類か…という複雑な感情のまま困っていると、ポンと頭を撫でられる。
「このリボン、取らないでね。」
「は、い………？」
私がこの言葉の真意に気がついたのは、ハロウィンが終わってからだった。
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霞花(プロフ) - ひかりさん» オリジナルフラグは外れております。冒頭部分の注意書きもしっかり表示されていますよ (2020年5月10日 20時) (
レス) id: 6d56430d02 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり - オリジナルフラグをお外しください。ルール違反です。 (2020年3月24日 13時) (レス) id: 8c2e85674d (このIDを非表示/違反報告)
霞花(プロフ) - ブンブンさん» ありがとうございます！(蘇生) (2019年10月24日 18時) (レス) id: 8895aebc7a (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 尊い…(遺言) (2019年10月21日 22時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
霞花(プロフ) - ラピさん» そう言って頂けるのは光栄です！ありがとうございますっ。 (2019年10月14日 22時) (レス) id: 356bccad88 (このIDを非表示/違反報告)
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