[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ7)

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帰ってきたAは真っ青の顔のまんま、俺を抱きしめた。仕事用の着物のまんまで。
にゃあん
「……ゾム、ごめんな。苦しいよんな、急に抱きついたりして。」
そう言ってパッと腕を離した。
頭を彼女の胸に擦り付けて、甘えてみる。
「何があったん？俺に話してぇや。Aの辛い顔みんの、俺も辛いんや。」
そう心の中で問いかけてみても、彼女には伝わらない。
「…………」
無言のまんま、撫でてくれるA。
しかし、撫でる手つきはいつもよりぎこちない。
静かな時間が俺らの間に流れた。

「…ゾム、これは内緒な。」
目を少し伏せた状態で、彼女は口を開いた。
「…近いうち、たぶんあと7日かそこらでな。うち、正式に遊女になんねん。」
…？とてもめでたいことではないのか。
ずっと、Aは姐さん達みたいな遊女になりたいと言っていたのだから。
「でもな、ゾム。うち……嫌やねん。なりたく、ないねん。」
Aの口から出た言葉はあまりにも衝撃的だった。
「うち、別にこの店が嫌いとかそういうのじゃない。でもな、うちは知らん人と寝るのがほんまに怖いねん。知らん人の相手すんのが嫌やねん。」
いつも文句も言わずに、にこにこと振舞っていたA。そんな彼女が今涙を流しながら本音を語ってくれている。
そんな事実が酷く嬉しい。
「なぁ、ゾム。うちも猫になりたい。猫になって、自由きままに暮らしたい。……無理な話やけど。」
ぽつりと独り言のように呟いたその言葉。
無理な話なんかじゃない。俺は実現させてみせる。

俺は彼女を絶対に幸せにしてみせる。