[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ6)

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俺がAの部屋に住むようになって、１ヶ月くらい経った。
俺はまだ彼女の望みの見当もつかない。
それどころか、猫での生活に満足してしまっている。
「…でも、これがAにとっての幸せかもしれん。」
本当に最近そう思うのだ。
昔から彼女はよくこう言った。
「うちはね、お家に住みたいとか、綺麗な着物が着たいとか、そういうのはあんまり思わんの。それより、山の近くとかでのんびり暮らす方がしてみたいんや。」
「普通が1番好きや。このままお店の為に働くのがね、うちの1番したい事。」
Aは昔から高望みする事がなかった。
お店からもほとんど出ず、基本的にはお店の為、姐さん達の為に働いていた。
そんな姿を俺は今も昔もずっと目にしている。無理やり我慢しながらやっている様子もないし、むしろ仕事が終わった後の彼女の顔は清々しい。
たぶん、人の為に働くことがほんとに好きなんだろう。
「…俺、わざわざ転生する必要なかったかもしれん。」
彼女の為を思って転生したものの、結局は自分の為にしか考えていないと言われても仕方がない始末だ。
「俺、帰ろうかな。」
そんなことを考えながら、俺はAの帰りを待った。
ドタドタと階段を登る音が聞こえる。
「……！Aや！！」
耳をピンと立て、襖の方に目を向ける。
こちらに向かってくる足音がし、ここの部屋の前で止まる。
「A、おかえんなさい！」
そう笑顔で迎えようとしたが、
「………っ………！」
襖を開けたAの顔は、俺が見たことないくらいに、真っ青だった。