[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ5)

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部屋の中は案外質素だった。というより、物が少ない。
「まぁ見習いの遊女だし、こんなもんか。」
部屋にある主なものと言えば、布団と鏡台、あと数冊の本。
「なんかAの部屋にいるって思うと気分が上がるなぁ。」
少しうずっとする気持ちを抑えて軽く中を物色する。
と言っても物が少ないから、見るものも少ない。
「うーん、Aの望みとか夢とかがわかるもんないかなぁ。」
一通り目を通してみるものの、めぼしい物はない。
そんな感じでガサガサしていると、後ろの襖がが開いた。
「ほんまにおる…姐さんから聞いとったけど、あんた勝手に女子の部屋に入るんじゃあないよ…」
少し眉をひそめて呆れた顔をするA。
にゃあ…と申し訳なさそうに鳴く。
「…ぷっ…あはは！うちなんで、猫なんかに怒ってるんや！あはは！」
やっと、彼女の笑顔が見れた。
それだけで俺は満足しそうになった。

「お前さんはほんまにゾムに似とるなぁ」
俺は今、大好きなAの膝の上にいる。
頭をワシワシされながら、喉をゴロゴロさせている俺はなんて幸せなんだろうか。
ついつい幸せすぎて、蕩けてしまう。
「…でもお前も私よりはよ死んでまうんよなぁ。」
俺を撫でる手が少し弱くなる。
俺はお前が死ぬまで一緒におれるで、って言いたかったけど、そんなことは言えない。
「まぁ、暗い方向に考えてばっかもあかん、前向きに行こ。」
そう言って柔らかく笑う彼女。
…今、俺が彼女に出来ることは側におる事かもしれんな。