[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ37)

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幼かった貴方は。【another】ページ37

「なぁエミ先生。」
彼女と再開して約2年が経った。高校1年生だった彼女も4月から高校3年生。もう1度春が来ればまた…私の元から卒業する。
「はいAさん、どうしました？」
不思議な縁で私は彼女の担任を今年と来年、受け持つことになった。品行方正で聡明な彼女はすぐにクラス、いや学年中の人気者になっていた。
「エミ先生って何で教師やっとるん？」
ここは教科準備室。春休みである今のうちに高校3年生の分野を予習したいという彼女の申し出に私が答えた訳だ。その休憩時間、突然投げかけられた彼女からの質問に私は戸惑う。
「……子供が好きだからですかねぇ？」
あなたの前世の方と約束したからです、とは流石に言えるはずない。
ふぅんと少しつまんなそうに答えた彼女は窓の外を見た。あの子と顔や雰囲気は似ているが。性格や考え方は結構違う。時代や生活環境も当時とは全く違うのだから当たり前なのだが。
「……先生って子供が好きじゃなきゃできん？」
くるりと振り返った彼女は再度私に問う。
知りたがりで好奇心旺盛な所はあの子似だ。
「ふふっ、そんな事ないですよ。子供が好きって理由だけじゃなくて、人に教える事自体が好きだったり、運動する事が多いからとか……人によって理由は違くていいんですよ。」
そう答えると彼女はうーん…と頭を悩ませた。…そうか教師になりたいのか。
聡明で優秀な彼女ならきっと皆に憧れられる素敵な教師になれるはず。
昔は苦しく感じていた卒業も今では将来を応援できるようになるなんて。
私自身も良い方向に変われているなら良かった。
「……なぁエミ先生。」
「ん？どうしましたか？」
「好きな人が、先生だから先生になりたいってのはあかん？」

「うち、エミ先生が好きなんよ。」

胸がとくん、と鳴った。