＊ ページ31
閑静な住宅地に響く足音が2つ。
1つは私の。もう1つは将さんの。
先程強引に彼に家まで連れていくように言われた私は正直後悔している。何故2人で会った時感じた違和感を友人に言わなかったのか。何故彼に言われるがまま今帰路についているのか。……何故あの日シャオロンを突っぱねてしまったのか。
後悔先に立たずとはよく言ったものだ。
あと1つ角を曲がると我が家、といった所で将さんは急に立ち止まってしまった。
「………」
「……どうしました？」
立ち止まった将さんは今まで見た事のないくらい嬉しそうな……いや恍惚とした表情をしていた。
「そうか、ここか…」
「…？いえ私の家はここじゃない……」
私の否定の言葉は彼の笑い声でかき消された。
「ここか……ここなんだな？"アイツ"の住んでいる場所は！！！」
アイツ？
ここに住んでいるのは…シャオロンの家族である。
しかし将さんがシャオロンの事を知らないはずだし、私も話した事は無い。ならば何故…？
「あぁ……君は知らないのか。まぁいい。知らなくてもいい事だって世の中にはある。」
そう言いながら私の方に将さんは近づいてくる。
黒い『何か』を纏いながら。
「えっ……？」
恐怖と混乱で私はその場に座りこんでしまう。
足が重い、怖い、動けない、声が出ない、
「ここまで連れてきてくれてありがとう。
仲良くなってくれてありがとう。色々と君の事を教えてくれてありがとう。」
将さんは黒い影の中心でユラユラと立っているが、その影は明らかに人間ではない『ナニカ』だった。
彼は人差し指を唇に当て、怪しげに微笑んだ。
「お礼に僕の正体を教えてあげますよ。」
どぷんと彼の姿が黒い影に飲み込まれて消える。
より大きくなった影が再度形を成して、彼の姿を作り上げた。
全体的な彼の姿は先程と変わりが無かったが、
決定的な違いが2つあった。
1つは彼の腹の辺りの服が破け、大きな口があること。
もう1つは
彼の頭に大きな2本の角が生えていたこと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
