[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ29)

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私が将さんと2人で会ったという噂は喫茶店の同僚の間で瞬く間に広まった。大方先輩が言ったのだろう。口止めをしていた訳ではないし、悪口でもない。ただ仲の良い友人達は困惑していた。
「Aちゃん……シャオロンくんの事はいいの？」
「いいよ別に。ただの腐れ縁だし。それに将さんの方がお家も育ちも性格もいいし。」
口ではそう言いながらも、珈琲を淹れる手は震えそうだ。
「…うーん……あっ、そうだ！Aちゃん、これあげる。」
そう言うと友人は小袋からリボンを取りだした。薄い山吹色をしていて、とても可愛い。
しかもご丁寧に上にレースが付いている。
「え？これめっちゃ良いやつじゃない？
こんなの何処で買ったの？貰っちゃっていいの？」
「可愛いでしょ。喫茶店でも使えるし、普段使いもできるよ。Aちゃんに似合いそうだからあげる！」
質素に結んでいた髪がリボンのおかげでたちまち華やかに。少し落ち込んでいた気持ちもこの色のおかげか明るくなった気がした。
「さて、今日も働きますか。」
窓越しに写ったじぶんはいつもよりも可愛く見えた。

平日の喫茶店は昼間を過ぎれば後はおやつ時でも人が少ない。ピークを過ぎた店内は常連客がいつもの場所に座っているだけ。
テーブルを吹き、食器を片付けると店のドアベルがチリンと響いた。
「いらっしゃいませー」
ドアから入ってきたのは、
学生帽を被り、鞄を下げ、本を右手に持った

シャオロンだった。