[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ28)

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その日以降シャオロンと会うのが気まずくなった。最初は自分から避けていたが、日が経つにつれて彼も必要以上に接触しようとしてこなかった。

そして今日は将さんと出かける日になってしまった。
待ち合わせの橋に着くと彼は既にもうそこにいた。
「…Aさん！」
「あ。将、さん。どうも、今日はよろしくお願いします。」
ぺこりとお辞儀をし、彼の横を歩く。
「Aさんは何か好きな事、あるかい？」
「えーっと、よく料理をします。」
「本当かい！？今度食べさせておくれよ。」
前に会った時とは違って意外とグイグイくる将さん。確かに優しいけど、どこか彼の言葉に引っかかる私がいた。
けど先輩からの紹介された人だ、変な人ではないのだろう。
「…Aさん？どうしました？」
「っ！いえ、大丈夫です…」
「そんな固くならないで、ね？のんびり行きましょうよ。」
そう言って私の背中に手を回す将さん
やっぱり、この前より少し積極的だ。
「…………」
ぞわり、と背中に悪寒が走る。
…が、こんな所で拒絶するのも気が引ける。
何も言えないまま、大通りの方へと歩みを進めた。

2人で港に来ていた巡回劇団の一座を見て、それから近くの洋食屋で遅めのランチをした。
それから少し豪華な服や装飾品の店を2、3軒
回っている内にあっという間に夕方になってしまった。
今日の将さんは前会った時とはやはり雰囲気が違うように思えた。
やたらと私の食生活や趣味、家族構成などを聞いてきたりと思ったより積極的な人みたい。
「今度ご実家の方にもご挨拶しに行ってもいいですか？」
「えっ、実家ですか！？……何故またそんな急に…」
「こんなに立派な娘さんをお借りしてるのですから、僕の方からもお礼をしに行きたくて。」
「……伝えておきます。」
わからない。これが裕福な家庭の基本なの？
実家に挨拶だなんてまるで婚前挨拶みたい。
お付き合いをしている訳でもないのに。
息苦しさを感じながら会話をしていると、
昼に待ち合わせた橋に着いた。
「では今日はここで。ありがとうございました。また会いましょう。」
「…はい、楽しかったです。ありがとうございました。」

来た時よりも重い足を引きずりながら、帰路につく。辺りはもう夕暮れ時だ。

ｶﾂ……ｶﾂ…

後ろから誰かにつけられている気がする。

ｶﾂ……ｶﾂ…

自分の影よりも大きい、黒い影が地面に見える。

「っ！！」

振り返ったがそこには何もいなかった。