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それから彼女がどうなったか詳しくは知らない。ただ風の噂によれば遠い親戚の所に嫁いだらしいとは耳にした。
私はあの夜の後三日三晩泣いた。
失恋、我が子の成長、そして卒業。
色々な感情が湧き上がってしまい、ずっと泣いた。泣きながらお酒も飲んだ。
しかし私は彼女との約束を心に留めていた。
三日三晩泣いた後、私は先生を再開した。
何年も何年も、私は先生を続けた。
しかし年々村の人口は減り、とうとう子供が来なくなってしまった。
それでも私は妖怪の子供相手に先生を続けたが、ついには妖怪の子供も来なくなってしまった。しかしそこで諦めないのが私だ。
人口が減り、疎かになっていた山の鳥居。
その頃には結界に大きめの穴が出来ていた。
それを知っていた私はどうにか結界から抜け出し、街に下りた。
街で教師の資格を取り、また何年も何年も教師を続けた。
たまに学校を変え、新しい名前、出身などを名乗り、様々な経験をするうちにかれこれ300年程が経った。
私はあの村が再開発され、今は中規模の都市になっていることを知った。
そこで村、いや市に戻り、そこの高等学校で教え始めた。
3月。門出の季節でもあり、新しい風の入って来る時期でもある。
我が高校でも卒業式が終わり、卒業生の寮の引き上げも今日で完了した。
「今年も多くの生徒が卒業しましたね…。」
昔は複雑な気持ちだった生徒の卒業も年月が経つにつれて、いつしか自分の誇りへと変わっていった。
長年生きていた私がやっと見つけた天職だと最近になって思う。
「エーミール先生、今日入寮の生徒さんが来てますよ。」
物思いに耽っていると、事務の方に声をかけられた。そうだった。今日は早めに入寮する新入生が来るのだった。
「はいはーい。今行きまーす。」
何故か学生寮の管理を任させれている私は、新入生の部屋の鍵と名簿を持って、事務室まで行く。
「確か女子生徒さんでしたよね…私で大丈夫でしょうか…。」
女性の教師の方が適任だったのでは、と今更焦るも、今日学校にいる先生はごくわずか。
それに今日来ているという事は、入学式など何らかの仕事があるから来ているのだろう。
少し不安に思いつつ、事務室のドアを開けた。
「はじめまして。学生寮管理係のエーミールと申し、ます…。」
挨拶をしながら入ってしまったため、言葉が途中で詰まってしまった。
そこには、だって。
「はじめまして。今日から入寮します。Aです。よろしくお願いします。」
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