[wrwr.d!] 妖怪な我らとの日々 (ページ14)

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次の日、彼女は来なかった。あの日から既に3ヶ月が経とうとしている。
私はずっと授業を続けている。ずっと。
3ヶ月なんて自分にとってはあっという間のはずなのに酷く長く感じられた。
「……なんでなんやろ。」
口ではそう呟くが、頭では理解している。
彼女は"大人"になったのだ。
巣立ち、親離れ、卒業……様々な言葉が頭の中で浮かび上がるがどれも認めたくないものだ。
今までの子供たちへとは違う感情を彼女に抱いていたのは確かだ。自覚はある。
だからこそ、離れる時はきっちりと離れたかった。……いやこれで良かったのか？
湧いては消える疑問を私は押し消す。
「さよーならっ！」
「ばいばーい！」
今日も子供達が帰るのを見届ける。
彼らにAの事を聞かないのは、聞くことで彼女の巣立ちを認めてしまう事になるから、いや、自分が事実を受け止められるか不安だからだ。

長く、深いため息をついて長机を片付ける。
背中を向けていると彼女のあの声が聞こえてきそうだ。
「えみ、せんせい？」「えみ先生！」「エミ先生」
形を変えながらも幾度となく呼ばれたその言葉。自分にとってはその言葉全てが宝物のようだった。
「急にいなくなるやなんて、卑怯や……」
長机に小さなシミを作りながら、俺は小屋で1人、震えていた。