「もう他人じゃない」【降谷零】

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「一体全体、どんな食べ方をしたらこんなに汚れるんだよ」

「ふはは、ほへん」

垂れてほとんど残ってないアイスを一口で頬張りながら、拭いてくれるコナンくんのつむじをじっと見つめた。

つい先日まで触れることすら不思議に思ってたのに慣れって怖いなあ…

そのうちポロッとボロを出してしまいそうで怖い。
さっきのも少しドキッとしたし。もうちょっと子供扱いした方がいいのかもしれない。





けどこうやって慰めてくれる時点で、小学生とは思えないんだよなあ…


「…ちょっと、A姉ちゃん」

「ん？」

「ん？、じゃないよ！なんで撫でてくるの！！」

どうやら無意識に撫でてたようだ。
いやあやっぱりリアルだと、つんつん頭もサラサラだなあ、なんて思っちゃってね。

「子供扱いして欲しいんじゃないの？」

「なっ！？そんなこと言ってないよ！」

「高い高いしてあげよーか？」

「もうやめてってば！」

わしゃわしゃと脇腹をこちょばす。逃げようとするコナンくん。

うん、からかうのもこんなもんで…







「何してるんですか」


ぴたりと手が止まった。
代わりに冷や汗がぶわっと出てくる。背を向けてても、声だけですぐ分かった。

「あ、安室さん…」

代わりに顔が見えてるコナンくんが言ってくれたが、何故か口角がひくひくしていた。
そして…


「あー！僕みたいアニメがあったんだった！
じゃあもう帰るねー！」

あっ！いつのまに！
するりと拘束から逃げ、安室さんの脇を通り過ぎるコナンくん。

さっき話したよねぇ！？という視線を送ればふんっ僕をからかうからだ。という視線が返ってきた。

自業自得ってか…
けど2人っきりにしないでくれぇぇぇぇ！！！

私は今、彼に会うのがすごーーーーーーーく気まずいってこと、分かってるよねぇ！？

ほんの30分ほど前にした自分の失態を思い出し、顔の熱がぶり返してきた。

ごほん、と安室さんが咳払いをする。
我に返って慌てて立ち上がってスカートの砂埃を払って振り返った。

「ど、したん、です…か、安室さん」

勢い余って言葉が詰まってしまう。
安室さんは無表情だった。ざわ…と胸騒ぎがした。



「忘れ物を見つけたので。
また店に来てくれた時に渡せばいいと思いましたが…」

優しい笑顔。
けどそれは見に覚えがある、吐き気のする笑顔だ。







…ああ、何となく察してしまった。







「僕、しばらくポアロにいないので」




私、フラれるんだなって。

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