scene7 ページ8
女将「雪華太夫、支度は終わったかい⁇はやく支
度しな。花魁道中が遅れちまうよ。」
阿「わかりんした。もうすぐ参りんす。」
お亮の屋号は雪華。雪のように透き通り、雪の華の様に美しい。雪の結晶の様な儚さも。
女将さんが付けてくれた屋号は実はお亮は気に入っている。
「姉さん、今日は一段と綺麗でありんす。」
阿「ありがとう。主様から頂いたこの着物、ほんに
華やかでありんすなぁ。」
とても着心地がよく高価な着物を撫でるお亮の顔はどこか蔑むかの様だと禿は思う。
何本もの簪を刺し、客に貰った高価な着物を着て、高い下駄を履き吉原の街を練り歩く。ハレの衣装は重い。
それは実質的な重さだけでなく。客からの想いも視線も。お亮の気持ちも。
だが、それに比例してお亮の色香や儚さは増し男達を魅了する。
阿「今宵はわちき共がとのさまたちの宴のお相手
させていただきんす。よろしくおがみいす。」
連れてきた妹達と共に三つ指をつき頭を下げる。
客の声で頭を上げたお亮は息を呑む。
街で出会った青年が一番奥でお亮達を見ていた。
阿(もう二度と会わないと思っていたのに‼)
「太夫、どうかしたかな⁇」
阿「いえ、なにもありんせん。」
お亮は客の声で一瞬剥がれた雪華大夫の仮面を付け直す。
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作者名:宏樹 | 作成日時:2021年4月28日 14時