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scene13 ページ14

奥のお座敷で二人はゆったりとした時間を過ごす。
お亮も目黒様もお互いに惹かれあっている事をなんとなく察していた。

目「お亮、私は今人生で一番幸せかもしれない。」

阿「急にどうしたの⁇」

目「私はお亮が好きだ。まだ三度しか会ってはいない
  が、それでも私はお亮を愛しいと思ったし守りた
  いと思った。」

お亮はとても嬉しかった。でも返事は出来なかった。

自分が普通の女子であれば何も考えず彼の元に飛び込めたのに、でもお亮にはそれが出来ない。

静かに涙を流すお亮の頬に目黒様の大きくて暖かい手が触れる。

目「お亮の柵は分かっているよ。でも私はお亮と共に
  生きたい。」

阿「蓮様…私…」

お丸「なんだい、あんた達‼」

私も、とお亮が言いそうになった時、店にお丸の声が響き渡った。

お丸「お亮なんて子、ここには居ないよ‼その子を離
  しておやり‼」

お丸の言葉にお亮ははっとする。

阿「まさか‼」

そのまさかだった。
こっそり覗くと妓楼の男衆が店先にいて、お丸の周りを江戸っ子たちがお丸を守る様に囲っていた。

そして、隙間から見えた顔にお亮は驚愕した。
お亮が町に出ることに手を貸してくれていた禿が後手に縛られ、顔を腫らしていたのだ。

阿「あぁ、なんてことなの。」

目「お亮‼大丈夫ですか⁇」

ふらついたお亮を目黒様が咄嗟に支える。

阿「私のせいで、わっちのせいで…。
  ごめんなさい。ごめんなさい。」

目「お亮、落ち着いてください。私が居ます。
  何があっても貴女を守るから。」

目黒様の声にお亮は少し落ち着く。
だが落ち着くと同時に絶望した。自分が幸せを望んだから、禿が傷付き、お丸や町の人達にも迷惑をかけたんだ。
自分が片足を突っ込んでいると思っていた沼に、本当は肩まで沈んでいたんだとお亮は気付く。


阿「蓮様、離しておくんなんし。」

目「お亮⁇」

阿「わっちは雪華大夫でありんす。わっちはわっちが
  あるべき所に帰りんす。主様、またわっちを買っ
  てくんなんし。」


目「お亮、私はお前を守りたいんだ。行くな。
  ここにいろ。」

阿「よしゃれ‼わっちは雪華大夫、客を好いたりなど
  しんせん。でも蓮様との恋愛ごっこ、いこう面白
  かったでありんす。それでは。」

目「お亮‼」

阿「蓮様、絶対にここから出ないでください。」

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作者名:宏樹 | 作成日時:2021年4月28日 14時

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