壱、愛に飢えた者達 ページ2
漆黒の大理石を、踵で踏み鳴らす。「おいでよ」と手招きされた方へと中原は迷わず進んんでいた。
コンコンコン。等間隔なリズムで、重厚な扉をノックする。するとゆっくりと扉が左右へと放たれる。
「如何しましたか、A様」
全面硝子張りの壁に手を添え、横浜を見下ろしていた神渡は薔薇のように微笑むと、「此方へ」と中原を豪奢な飾りの施された椅子へ促した。中原は神渡に会えた事に法惚の笑みを浮かべる。
「矢張り座り心地が良いですね。して、今日はどのようなご用件で？」
「ふふ。わかってるくせに、随分意地悪な事を言うのね。さぁ、中也。私に奉仕しなさいな」
神渡は木製のデスクに腰掛け、中原に両手を広げる。甘い香りに誘われ、中原はゆらゆらと歩き、神渡の頬に手を添える。
その目は、暗く澱んでいた。まるで、愛に飢えた子供みたいに。神渡はそんな中原に慈愛に満ちた瞳を中原に向ける。
異様な光景は、美男美女がすることによって芸術作品となっている
目と目が合った時だった。刹那中原は、縋り付くように執拗に彼女の厚い唇の感触を味わう。開いた口に舌を捩じ込んだ。神渡も中原の舌を逃がさんとばかり、追いかける。甘く溶けた雰囲気が充満する。暫くして、中原は名残惜しそうに神渡から離れた。
「……ごちそーさまでした」
「なによ今更。私の�犲�い�瓩僚螳戮巴飜蕕砲海鵑併�をさせてるんだから、御礼なんて要らないわ」
そんなことない。喉からでかかった言葉は外気に晒されることなく、中原の胸で不完全燃焼される。
穢れた呪いを受諾したのは自分であり、この異能の契約者となったことでA様に触れることが出来るという特権があるのだ。言葉の御礼なんかでは足りない。然し、呪いを自分より前に受けた者が一人だけいることが中原は気に入らなかった。特に、中原が最も嫌う人物であることが。
「……A様、太宰「その名前を言うな馬鹿者ッ‼」……申し訳ありません。失言でした」
中原に先程とは打って変わって厳しい目を神渡は向ける。そして吐かれる溜息。
「もう帰ってくださる？」
「然し……」
「中也。貴方を生かすも殺すも私次第なのよ？」
地を這うような声色。地雷だったか、と中原は後悔し、静かにその場を後にした。
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ドS娘 - よろしくです！あ、私もと幽々子です！ (2017年6月4日 11時) (
レス) id: 8d85534e35 (このIDを非表示/違反報告)
琴月 ことは(プロフ) - 幽々子さん» コメントありがとうございます！本格的だなんて、有難いお言葉です！これからもよろしくお願いします。 (2017年4月29日 19時) (レス) id: af1efce3a7 (このIDを非表示/違反報告)
幽々子 - わぁ〜！すごいですね！本格的で! (2017年4月29日 18時) (レス) id: 8d85534e35 (このIDを非表示/違反報告)
琴月 ことは(プロフ) - 四月朔日さん» わわ！綺麗な文と言われて作者、嬉し泣きですよっ！素敵なお話と思っていただけて幸いです。四月朔日様、コメントありがとうございました！ (2017年4月29日 3時) (レス) id: af1efce3a7 (このIDを非表示/違反報告)
四月朔日(プロフ) - 綺麗な文に加えて素敵なお話ですね。続き楽しみにしています！ (2017年4月28日 23時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：萩原りお | 作成日時：2017年4月28日 19時
