８．また明日も(2) ページ8
「Aちゃん脚速ぇ…」
すれ違う生徒達が走る私を見て、ギョッとした顔をする。
脚の力が抜け、何度も倒れてスーツが汚れる事も厭わず走り続ける。
ようやく辿り着いた崖には、赤羽君、潮田君、殺先生が居た。
ガクガクと震える体を支えるように木を掴み、大声で叫ぶ。
「赤羽！！」
もう見過ごせない。
私が見たのは崖から飛び降りる赤羽君の姿だった。
いくら殺先生のスピードで助けられたとしても、平然と命を捨てるような真似をしておいて、平気でいられるわけが無いだろ！！
「何やってンだオマエら！！危ないだろーが！」
「…先生はさ、俺を見捨てたら経歴に傷つくから、そうやって言ってんの？」
は？
試すような目で私を見る赤羽君の言葉に、苛立ちが最高潮を迎えた。
体がブルブルと震えだし、意地で立っていた脚は膝を着いた。
目頭が熱くなり、泣くな、と言い聞かせているのに次々と涙が溢れて地面にシミを作る。
「そんな訳ねェだろうが！！生徒が危ない目に遭ってんのに、心配しない教師はゴミ以下だろ！」
当たり前のように近くにあったものは、呆気なく消えていった。
真一郎君、場地、エマ。
また明日も笑顔で居て、当然のように一緒に生きて大人になるものだと思っていた。
「生き物は簡単に死ぬんだぞ！！？もし殺先生が助けられなかったらどうする！助かったとして大怪我でもして、体が使い物にならなくなったら！！」
車に跳ねられ、何人も友達を失って、集団で襲われて死にかけて雪が降る中コンテナに放置され。
私の体は限界を超え、障害を抱えてしまうようになった。
どれもこれも自分の責任だ。
私はあの日までの出来事をずっと後悔している、だからこそみんなにこんな風になって欲しくない。
「もうこんな真似すんな…死ぬかと思っただろーが…」
「ははっ、Aちゃんって実は口悪いんだね」
「笑い事じゃねーよ…クソっ」
はー、と溜め息を吐いて涙を拭く。
顔を上げると、赤羽君がしゃがんで私に目線を合わせた。
「Aちゃんの事も誤解してたよ、俺。今までごめんね」
「ごめんで済んだらサツ要らないわよ…」
地面に手を付き、立ち上がろうとグッ、と力を入れる。
だが、腰が抜けて中々立ち上がれなかった。
赤羽君達は不思議そうに私を見つめて小首を傾げていた。
「…脚、動かない」
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くゎじゅ(プロフ) - なっつさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます、7月下旬には落ち着きそうなので、長らくお待たせしてしまうことになりますが、それ以降たくさん更新できるように頑張ります。 (2022年4月14日 0時) (
レス) id: 4a978b52b3 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ - 続きが見たいです!!( *´꒳`* ) (2022年4月7日 23時) (レス) id: 87cdd260c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年2月12日 19時
