１１．初めて見たあの日から(1) ページ11
ラーメンも残り3分の1になった所で、引き戸が開く音がした。
「おー、いらっしゃい」とスマイリーが呑気に言って、私の左隣にその人は座った。
嗅ぎなれた香水の匂いに、同じ香水を使ってる人も居るのか、と顔を少し横に向けた。
「よォ、Aチャン。またやったらしいじゃん」
そこにはニコニコと微笑み、頬杖をついて私を見つめる旦那の隆が居た。
圧のある笑みに、私は麺を啜っている途中で固まった。
すれ違った生活をしていたので、まともに言葉を交わしたのは4日ぶりぐらいだ。
「ドラケンとイヌピーから連絡貰ってすぐ来たワ」
「仕事は…？」
「そんなモンより奥さんの方が大事だろ」
隆は私の髪を耳にかけて、頬を撫でる。
隆はそのまま「よォ」と言って、堅達と挨拶を交わした。
「コイツも反省してるから、あんま言わんといてやってくれや」
「ワカってる。でもオレにも一言ぐらい欲しかったな〜？」
「ゴメン」
「ドラケンの方が良いのかも知んないけどさ、夫婦なんだから。もっと頼っていいんだぜ？」
「な？」と笑う隆。
カッコイイ、とときめいていると、スマイリーが私と隆の間に食え、と言わんばかりに餃子を置いた。
少しだけど昔の仲間と集まれて、あの時に戻ったみたいで酷く懐かしかった。
気を抜けば、今日の出来事を思い出して涙が出そうだった。
「ご馳走様でした！」
「いっぱい食べてくれてありがとう」
「美味かった」
堅の奢りだそうなので、あれから私達は替え玉を頼み、餃子を平らげた。
堅の財布を空にする勢いで食べ尽くし、お腹はパンパンだった。
スマイリーに「太るぞ」と言われたが、私は毎日登山しているから0キロカロリーみたいなもんだろ。
「また来るね〜」
帰る用意をして、今度は隆におんぶしてもらう。
支払いを済ませてもらい、スマイリーとアングリーに手を振って店を後にした。
隆はバイクでここまで来たそうで、私を車に乗せるとバイクを取りに戻って行った。
「先に帰ってて」と言われたので、私はそのまま堅とイヌピーに家まで送ってもらった。
「もう無茶すんじゃねーぞ」
「うん、ごめんね。ありがとう」
「お大事にな」
堅はそう言うと、イヌピーの待つ車へと戻って行った。
脚は少し動くようになっていたので、玄関に置いてあった杖を使って家の中を歩く。
湯船の水が昨日のままなので、それを追い炊きする。
そのままリビングに向かうと、壁に飾られた東卍の写真が目に入る。
ここに私の全てがあった。
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くゎじゅ(プロフ) - なっつさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます、7月下旬には落ち着きそうなので、長らくお待たせしてしまうことになりますが、それ以降たくさん更新できるように頑張ります。 (2022年4月14日 0時) (
レス) id: 4a978b52b3 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ - 続きが見たいです!!( *´꒳`* ) (2022年4月7日 23時) (レス) id: 87cdd260c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年2月12日 19時
