・ ページ28
「東卍のみんなには私の事言わないで。考えがまとまったら連絡するし、自分の口で説明したいの。迷惑かけてごめんね」
私はヒナちゃんの両手を握ってそう言った。
2人で戻ると事態は収拾していて、まず私はリエーフくんに頭を下げ、次に各校の先生方や生徒達に謝って回った。
先生方は事情を知っているので、軽く注意されただけで済んだ。
生徒達には今回の事で私の事が知れ渡り、ごめん、と謝られた。
烏野の人達にはバスに乗る前に軽く説明した。
せっかくの合宿を台無しにして申し訳ない、と落ち込んでいると、誰かが私の頭を軽く撫でた。
「しんどい時はちゃんと言うんだぞ」
そこには歯を見せて笑う澤村くんが居た。
そして澤村くんを筆頭に、みんなが次々と声をかけてくれる。
そうだ。
どうでもいいなんて思っちゃダメだ。
みんなのおかげでここまで来れて、圭介達の話を聞けた。
みんなが必死に頭を下げてくれたからここに居られるのに、簡単に諦めていいもんか。
向き合わなくちゃ。
いつも黙ってばかりで両親の言いなりだった、ちゃんと私の意志を伝えないと。
「ありがとうございます」
そう言って、私が笑うと、それを見たみんなも笑顔を見せる。
本当にいいチームに巡り会えた。
ちゃんと戦え、乗り越えろ。
辛い時には烏野のみんなが居る。
・
「おかえり、A」
家に帰ると、笑顔の母親が私を出迎えた。
この笑顔すら気持ち悪いと思ってしまう。
前までは仲のいい家族だと思っていたのに、私を思い通りに操れて楽しんでるの？
「A？」
返事をしない私に不審に思ったのか、母親が顔を覗き込む。
やめて、やめろ。
「疲れたのか？」
「1週間合宿で帰りはバスだもんねぇ」
私は合宿最終日にクソみたいな思いしたのに、なんでそんなに呑気で居られるの？
私が今までお父さんとお母さんを傷つけないようにしてた努力はなんだったの？
私が、私が、
「私が、今まで…っ」
言葉を話す度に涙が零れる。
喉が焼けるように痛い、爪が手のひらにくい込んで痛い。
私の異変に気づいた両親が、困ったように顔をしかめていた。
「なんで、なんで私が死んだなんて嘘ついたの！！」
「どこでそれを…！！」
お父さんとお母さんは私の言葉に動揺する。
胸が痛い。
痛くて、痛くて仕方がない。
お父さんとお母さんが私を愛していてくれたのは嘘だったの？
「なんで…」
床に崩れ落ちるように座り込んだ私を、両親はただ見つめているだけだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 911人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆぅ(プロフ) - このお話を見つけてから一気見してしまいました！最後良かったなぁと思いましたが、大地さんの事を考えると少し複雑です…笑 (6月28日 20時) (
レス) @page50 id: 8e291ea386 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 完結おめでとうございます！めっちゃ泣きました笑主さんの言葉のチョイスとかがマジ最高で最初の方から泣きっぱなしでした😢本当にいい作品ありがとうございました！！ (2022年2月15日 1時) (レス) @page50 id: 2f9ff98037 (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎回楽しみで更新される度嬉しくてすぐに読んでいました！！とっても面白い作品でした！ありがとうございました！！ (2022年2月13日 15時) (レス) @page50 id: 97f98e2290 (このIDを非表示/違反報告)
AYA - 完結おめでとうございます！ いつも楽しく読ませて頂きました！ ありがとうございました！ (2022年2月13日 8時) (レス) @page50 id: 38ab2f94d7 (このIDを非表示/違反報告)
有 害 。(プロフ) - 完結おめでとうございます。更新をとても楽しみにしていて読んでいてとても面白い作品でした。この作品を生み出していただきありがとうございます。大好きです(T T) (2022年2月13日 0時) (レス) @page50 id: eeca6b926d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まてっどぴっど | 作成日時：2021年12月9日 11時
