消えたくない、 (ページ1)

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「ヒュッ」

午前6時、起床した私は目の前に広がる光景に絶句した。
白とグレーを基調とした見慣れない部屋に居たからだ。
記憶喪失とか誘拐かと思ったが、体を見るにそのような痕跡はないし記憶はもちろんある。
だって昨日までは普通に夢小説を読んでTw○tterで夢作品漁ってって…。

「待って、これ私…？」

ペタペタと体を触り、肌の色や腕の太さを見て元の自分と違う事に気づく。
私はこんなに肌も白くないし、ムダ毛は脱毛してないからチクチクするはずだし毛穴もないし爪先も綺麗に整ってる。
急いでベッドから飛び降りて部屋を飛び出し、家中の扉を開けてなんとか洗面所に辿り着く。

「うそ…」

肩上で切り揃えられた黒髪、前髪はかきあげる為に立ち上がっている。
瞳の色は紫で目付きは鋭い。
肌の色は雪のように白く血色がない。
ブルベ冬？もしかして。
顔立ちは整っているし体もボンキュッボンで誰もが羨む美少女だった。
だが私はこの姿を見てひとつの事が頭に浮かび、頭がクラクラとした。

「どうしよう…」

目眩がしてその場に座り込むと、大きな音がしたようでそれを聞きつけた母親らしき人が洗面所に駆け込んでくる。

「ちょっとA！！さっきからうるさいわよ…ってどうしたの！！？」

その人の顔を見た途端、私は涙が溢れ出した。
恐怖、絶望、喪失感。
全てが一気に襲ってきて私はそのまま意識を失った。