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きゅう ページ9

寮分けが終盤に近づいたころ。
振り分けられた悪童たちは比較的おとなしく、それぞれの寮のエリアで寮分けの終了を待っていた。
うわ、まずい、最後尾になっちゃう!
焦って待ち列に並ぶ。本当はアルファベット順なんだけどね(この騒ぎだからもうとりあえず並んだ人から寮分けしてるらしい)。

「ああ、シレーヌ。どこ行っていたんですか!」
「寝てました」
「……はあ〜〜ッッッ、闇の鏡の前へ」

な、なんだ…!その、「所詮あなたもクソガキですかァ〜」みたいな顔!
陸での私の保護者・クロウリーの憎たらしい顔&ギネス級ため息に、舌打ちをプレゼントしてから鏡の前へ立った。なんかクロウリーが言ってるけど、聞こえません。

「汝の名を告げよ」
「シレーヌ・ルーです(ポムフィオーレはいやです)」
「………シレーヌ、汝の魂のかたちは、オクタヴィネル」
「はい」

まあ、そうだよね。しってる。
魚類は殆どオクタヴィネルらしいし、文句はありません。とりあえず、ポムフィオーレじゃなくてよかった!ほっと胸を撫で下ろした。

「では、あちらへ。さっき舌打ちしましたよね?」
「してません」
「舌打ちしましたよね?」
「してません」

ほんわり歓迎ムードのオクタヴィネルゾーンへ突入し、まわりのピチピチ稚魚ちゃんたちとよろしくを言い合いながら席につく。
…ポムフィオーレから強烈な視線を感じたけど、気づかなかったフリをした。責めるなら、あの鏡を責めてね!

「シレーヌう」
「は、ぐえ」

突然の呼ばれた名前に応えようとして、後ろから首に手を回された。うおお、しぬ…なんだろう、この見覚えある締め付け感は…!?
全力で腕を引き剥がして、後ろを向く。
そこには…ー。

「フロイド!え!なんで…!?」
「入学したんだよお。ほら、ジェイドも」
「どうも、シレーヌ」
「は!!ジェイド!!」

うわ、人間のフロイドとジェイドだ!新鮮!みじかい!
「あと、ほら」、フロイドが指差す方をみると、え!!あれは!!スピーチをする、脚が少ないアズール!!
ハアハア興奮していると、スピーチが終わったらしいアズールが戻ってきた。

「…は!?シレーヌ!?」
「わああ」

驚きに顔を染めたアズールとリーチ兄弟を、あの日みたいにまとめて抱きしめた。
だって、半年ぶりだ。半年も会っていなかった。
溢れる涙をそのままにフロイドの式典服に顔を埋めたせいで、肩の部分がおしゃれなバイカラーみたいになっちゃった。ごめんね。

じゅう→←はち



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作者名:ほこり | 作成日時:2020年12月23日 2時

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