セイレーンの受難 (ページ14)

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じゅうよんページ14

大大大ニュース！
女の子が入学しました！！やった！

「アズールは、もう会ったんでしょ？監督生さん」
「まあ。…気になりますか？」
「気になるよ！もしかしたら、お友達になれるかもしれないし」

アズールの部屋、ベッドの上。
バタバタ足を動かす私を、コラ！とアズールが軽く叩いた。すごい、目は書類、ノールックで椅子から攻撃してきた。流石寮長。
そう。なんと、アズールがいつのまにか寮長になっていたんです。私にはなんでも話せという割に、彼は何も言わなくて！不公平だ！と抗議したら、すみません、と嬉しそうな顔で謝られた。ニヤニヤするな！
まあ、そんなこんなで、いつのまにか私は1人部屋になってしまって(隣のベッドは何故かずっと空で)、寂しいので毎日アズールの部屋に入り浸ってしまっている。もちろん、来るなと言われたら、諦めてひとり寂しく過ごす予定。

「かわいいかなあ。一緒にショッピングとか行きたいなあ」
「…いいんじゃないですか」
「だよね！わー！楽しみ！明日、声かけてみるよ」

バサリ、書類が音を立てて床に落ちた。

「…、もう、帰ってください」
「…え？」

冷たい声。思わず身を起こして、アズールを見た。書類を拾って揃えるアズール…、視線は合わない。
なにか、怒らせるようなことを言ってしまったのかもしれない。謝らなきゃ。口を開いて、

「っすみません。頭を冷やします。」
「あ、…」

…そのまま、アズールはガツガツ靴音をたてて部屋を出ていってしまった。

ーー静寂。
ど、どうしよう。追いかけて、何が悪かったのか聞かないと。
ベッドから飛び出して、裸足のまま、そのままの勢いで扉を開けると、思いがけず誰かとぶつかった。良い香り、柔らかい感触…、可愛らしい悲鳴。

「す、すみません！」

ふわふわの髪に、大きな目。この学園にいるはずがない、美少女…、彼女は、もしかして。

「あなた、監督生さん？」
「は、はい。そうです」
「わあ！はじめまして！どうしてオクタヴィネルに？この時間、他寮生は立ち入り禁止だよ」

私の言葉に顔を青くした監督生さんは、すみません、ともう一度繰り返した。あ！しまった。咎めるつもりなかったのに。

「だ、大丈夫！私がナイショにしておくから。えっと、何か用事が？」
「あ、ありがとうございます…！実は、フロイド先輩に、あいたくて」

ほっと息を吐いた彼女は、今度は顔を少し赤くして、震える声でそう返した。
…あ、この子、フロイドが好きなのか。