佐木くんの事件簿2

呼び方 ページ38

佐木目線






Aは終始、真剣な眼差しで先輩の話を聞いていた。


僕は先輩の話を聞くというよりも真剣なAをずっと見てた。


あんな顔するんだな。
僕、初めて見たかも。


重苦しい空気の中、そんなことを考えていた。
そして、Aが口を開いた。


貴女｢ひとつだけ、聞いてもいいですか？｣


金田一｢ん？なんだ？｣


貴女｢竜太さんは名前で呼ぶのに、何故竜二じゃなくて佐木、なんですか？｣


佐木｢あー、そう言われれば。なんでですか、先輩？｣


金田一｢え、そこ聞いちゃう？｣


貴女｢だって、気になったんですもん｣


金田一｢いや、実はさ。初めて佐木に会ったとき、竜太と重ねちゃって。何度か、竜太って呼びそうになってて。初対面の年上にいきなり名前でしかも呼び捨てって嫌だろ？だから、当たり障りのないように名字で呼ぶことにしたんだ｣


僕も知らない新事実。←
何も考えてないようでけっこう考えてんだ、この人。←


貴女｢そうなんですか。…でも、変ですよ｣


美雪｢何が？｣


貴女｢私と初めて会ったときは普通に名前で呼び捨てだったと思いますけど？｣


金田一｢そ、そうだっけ？｣


(コンコン)
その時、ドアがノックされた。


金田一｢…あ、誰か来たぞ｣


あ、この人はぐらかした。


美雪｢私、出るね｣


美雪先輩がドアを開けに行った。







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