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2セット目 ページ10

孤爪side


…正直、自分でもなんでと聞かれたら答えられない。
自然と体が彼女を追いかけていた。


(…どこ、行くんだろ)


新校舎を過ぎ、旧校舎向かうAを追いかけて来たはいいものの
その後どうするかは何も考えていなかった。


Aが入っていった教室をそっと覗いてみる。
そこには美味しそうにお弁当を食べるAがいた。

(静かに……入ってみよう…かな)



準備室側から入って、そっと近づく。

するとAがそっと呟いた。



『可愛い顔してるもんなぁ…笑』



「…誰が?」



ばっとこちらを向くA。


思わず反応してしまったが、大丈夫だろうか。
さすがに驚くよな、と内心狼狽える孤爪。

想像通り驚いていたA。


それとなく会話をして、昼休みが終わる前に昼食を済ます。
今日はあまりお腹がすいていなかったためパン一個だった。
思ったより早く食べ終わったのでゲームをする孤爪。


(…なんだろう、話しかけてこないのって珍しいな…)


普段、クラスの女子はゲーム中でも構わず話しかけてくる。
大体バレー部の事でとかなんやらで
黒尾のタイプを聞いてきたりするので、結構うんざりしていた。



(…今井さんはおれが喋らなくても楽しそうだから…なんかいいな…)



そろそろお昼休みが終わるということで
ゲームを一区切りさせて教室に帰ろうとしていた時。



『好き、なのかな…?』


(…………好き?………誰が?…)


このタイミングか、というか時に限って目が合う。


『えーー…と?』


(……知らんぷりしとこ)


「…?」

(…話題を変えよう……)


「…おれ、そろそろ戻るけど…今井さんも一緒に行く……?」

『…?! うん、行く行く!!』





孤爪にとってAは何もかも新鮮だった。
黒尾のようにだる絡みもしてこない。
クラスの女子みたいに騒がしくない。
…でも孤爪に無関心というようには見えない。


(…今井さんと話してると…なんか不思議な感じがする…)



きっと、気のせいだ。

だから自分が発してしまったこの言葉も

気のせいだ。




「………あと…なんとなく話してみたいなって…思った…から?」




ある特定の人と話してみたいなんて……
思ったこと…ないから、。

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作者名:百。 | 作成日時:2020年7月5日 18時

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