研磨くんと私。【HQ】【孤爪研磨】 (ページ26)

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最終セットページ26

「…あらら～。これは非常に起こしにくい。」

「…クロさん、この二人なんなんですか…？」

「俺に聞くな山本。」

2人の目線の先にいるのは
お互いに寄りかかって眠ってる孤爪とAだった。

「……というか研磨。起きてんダロ。」

一見眠っているかのように見える孤爪だが、
黒尾のその声掛けによって目をゆっくりと開かせる。

『…なんでわかったの』

「幼なじみナメんじゃねーよ」

そう言って満足したのか、黒尾は山本を連れてバスを降りる。
すぅすぅと隣で眠るAを愛おしそうに見つめる孤爪。
こっそり写真を撮り、優しく起こす。

(…そういえば前もAの寝顔撮った気がする)

『…A、起きて…着いたよ』

「…んあぁ、朝？」

『いや夜だけど』

「…おお、孤爪くんだ」

『はい、早く降りよう』

「…んー眠い。降りよう。」

監督、コーチからの話を聞き、挨拶をする。
解散の声掛けが聞こえたら各自家へ向かう。

『…A、一緒に帰ろ』

「あれ、黒尾さんはいいの？」

『クロは…うん、大丈夫』

「そっかそっか」

夜遅くに二人きり。
今更になって緊張してしまう。

『…あ、そうだ。Aもおれのこと下の名前で呼んでよ』

「え、研磨くんってこと？」

『そう、せっかくだし。』

「……………わかっ、た。」

『…いやだったら…無理しなくていいよ、』

「…全然嫌じゃないの、ちょっと恥ずかしくて…。」

『………はぁ、かわいい』

彼氏彼女、という正式なカタチになったんだ。
隠す必要も無いということで孤爪は遠慮なく思ったことをいう。

(…私、心臓いくつあっても足りない気がする)

「…ねぇ、ほんとに私でいいの？」

『……Aじゃなきゃ嫌、だと思う。』

『…Aは？ほんとに俺でよかった…？』

「私も……孤爪く…研磨くんじゃなきゃ嫌かな、笑」

研磨くんと私。

一見ただのマネージャーとバレー部の部員のように見えるが
普通よりも心のガードが強く、仲間に愛されている孤爪くんと
どこにでもいる通行人Aのような私。

釣り合わない、そう言われれば言い返せないような関係。

そんな私たちでも。不器用な私たちでも。

お互いが好きという気持ちは変わらないから…。

「これからもよろしくね、研磨くん。」

『…うん、よろしく。』

おわり。