研磨くんと私。【HQ】【孤爪研磨】 (ページ24)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:49,577 hit

六試合目ページ24

孤爪 side

(…見てて、って言ったからには)

「…頑張んないと。」

「お？研磨今日は珍しくやる気だな～」

黒尾が孤爪を揶揄うように言う。

(いい所見せたい、なんて言えないしね)

今日一日、いつもよりよく出来た方だと思う。
ツーアタックも決まった。
夜久の練習を最大に生かすレシーブや
黒尾のじわじわとプレッシャーを与えるブロックのおかげで
烏野のチームをしっかり見ることもできた。

(…おれ、今日頑張った。)

「研磨今日頑張ってたなぁ!!」

「あのツーアタックはかっこよかったっす…!!」

山本に続いて犬岡が言う。
孤爪も褒められるのは好きなので満更でもない。
ただ、孤爪が一番褒めて欲しかったのは…

「A」

『わ、孤爪くん』

紛れもない彼女だった。

「…ちゃんと見てた？」

『…』

少しくらいは褒めてくれると思っていた孤爪は
若干不安になりAの顔を覗く。

「…？ねぇ、どうし…」

『すっごいかっこよかった!!!!』

ばっと顔を上げ、キラキラとした目で孤爪を見上げる。

『あの時絶対山本くんにトスあげると思ったのに
まさかのツーアタックで思わずわぁ、って声が出ちゃったし
すっごい鳥肌たった!! 音駒の目!!音駒の心臓!!って感じがした!!』

こんなに饒舌に話すAを見たことがない孤爪は
さすがに驚いたものの、心から嬉しかった。

「…ありがと、…ちゃんと見ててえらい、」

『…んふふ、孤爪くんも頑張っててえらい！』

ぶわっ

(…ああ、そうだ。この笑顔だ。)

孤爪は彼女とたくさんの時間を過ごすようになってから
こういった瞬間がたまにあった。
心から跳ね上がるような、二度と離したくないような。
自分ではよく分からない感覚。

(…………好きだな。)

恐らく孤爪自身もこの感情には気づいていたのだろう。
俗に言う恋心。
孤爪は得体もしれない気持ちに囚われてしまう前に
閉ざして、気のせいということにして仕舞っていた。

だが自覚してしまったからにはやることはひとつ。
失敗は許されないが、孤爪の頭にはそんな心配はなかった。

「…ねえ、バス帰りも隣でいい？」

『…!! もちろん!!』