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3セット目 ページ19

練習試合当日。


遠征、と名前にある通り宮城に着くまで時間がかかるので
深夜のうちに学校に集合する。
まぁAも…学生、という身分のわけであって。
夜に学校に来るというのは…


「…っすっげえ、ワクワクする!!!!!!」
「うるっせーぞ……山本…」


三年生達は遠征に慣れているためワクワクするという感覚は薄れたが
楽しいことには違いない。
今日は灰羽が居ないため、いつもよりは幾分か静かに見える。


(……あれ、孤爪くんどこだろ…?)


キョロキョロと周りを見渡してみても見当たらない。
もしかして寝坊かな、と彼ならありえそうなことを考えてみる。


「お望みの人はこいつですかい?」


「うおっ、黒尾さん」

後ろからぬるっと声をかけた黒尾が抱えているものは。

「…お、孤爪くんじゃないですか…」

自然と声が小さくなってしまった。
黒尾が抱えている…というか黒尾に引っ付いている孤爪は
背中によりかかって立ったまま夢の中だった。


(…ふふ、かわいいな、)


さっきまで引き締まっていた頬が急に緩まる。
そんなAを見て、何か思いついたかのように黒尾が喋る。



「…あ、じゃあ俺やっくんのとこ行かなきゃだから
こいつよろしく!」


そう言って孤爪をAのほうに寄りかかるように傾ける。


「え、え、え、待って下さい黒尾さんほんとに待って」




予想以上のいい反応をしたAをにやにや顔で見ながら
夜久の所へ向かう黒尾。
付け足すようにもう一言。


「あ、そうそう!眠い時の研磨おもしれぇから頑張れよ〜!」

「面白いってなんですかぁぁぁ………」


眠そうな孤爪の傍で叫べるはずもなく、細い声が出る。


山本や夜久達にも笑われ、頑張れよと声をかけられる。


(…頑張れよってなんだよぉぉ…)



バスの座席も流れ的に孤爪と隣。
A的には嬉しいが、起きた時の孤爪が嫌がらないか不安だった。


(…いや、嬉しいんだよ?好きな人とバスの座席隣なんて
漫画の世界みたいな偶然だし?最高だけど…)


(肩に頭乗せられてる上に手繋ぐって近すぎて無理!!!!)



孤爪はバスの席に座ったらすぐにAの手を捕まえた。
この子ほんとに寝てんのか、と言わんばかりのすばやさであった。
振りほどくこともできずに時間が経っている。
さらにこちらに気づいた黒尾に爆笑される始末だ。


ああ、恥ずかしい。




音駒マネージャーになって初めての遠征、凄いことになりそうです。

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作者名:百。 | 作成日時:2020年7月5日 18時

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