むいくん、思い出してよ…。(時透無一郎)

記憶23 ページ25

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私達は、無事任務を終えることが出来た。

上弦が二体もいたのに、自分達の中では誰も犠牲者が出なかったのは奇跡だ。


皆が一緒に頑張ってくれたおかげだ。

きっと自分一人では勝てなかっただろう。


私は、一緒に命をかけて戦ってくれる仲間がいることの幸せを噛みしめた。



どうやら私は眠ってしまったらしい。

目が覚めるとむいくんの背中の上にいた。


彼の背中は思っていたよりずっと大きかった。

まだ幼い彼には重すぎる決意や責任感を背負っているのだろう。

両親や兄を亡くしていなければ、そんなものを抱えることなく、今でも幸せに家族と暮らしていただろうに…。

私は切なくていたたまれない気持ちになった。

それでもくじけることなく、毎日懸命に生きている彼は、たくましかった。


私が知らないうちに大人になっていたんだね…。

昔の君は、泣き虫で甘えん坊で、いつも私の後をついてくるかわいい弟のようだったのに…。

今ではこうして私を支えてくれている。


その事実に、少し寂しいような気がした。

だけど、それ以上に、どんどん男らしくなっていく彼に、胸が高鳴るのを感じた。

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