第九話 ページ9
いまだに食事をとらないAに何か食べて欲しいと思い、街を歩いた。
そこで目に止まったのが金平糖
昔、弟たちも喜んで食べていたな
そう思って、無意識に買っていた
Aに渡すと、小さな口を開けてそれを放り込んだ
やっと何かを口にしてくれたことに安堵したが、途端に涙を流すAに戸惑った
しかし、その涙が今までと同じような悲しみばかりではなく、上手く言えねぇけど、落ち着いたようなそんな感じがした。
「今日は、なんか食えそうかァ?」
俺の問いかけに、涙を溜めたままAは頷いた
.
.
「ほんとに俺んとこ来んのか?」
「蝶屋敷にいても、構わないんですよ?」
数日後、完治はしていないが食事も取れるようになったということで、Aは俺の家に来ることになった。
『大丈夫…です、不死川さんと、いたい、です』
ゆっくりと話すAは俺の服の裾を掴んでそういった。
「わかりました、またいつでも来てください。アオイも喜びます」
「じゃ、行くかァ」
蝶屋敷を去り、俺の家に向かう。
小さな歩幅に合わせて歩くのは何年ぶりだろうか
少し懐かしくて切なかった
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時