第三十一話 ページ31
あの後、少しすると実弥さんが来た。
まだ心は動揺していたけれど、きっといつも通りに笑うことが出来た。
ただ、その日はあまり食欲が出なくて、心配されてしまった。
部屋に入って、思い出すのはさっきの光景
私は、ここに来てから血まみれの隊士を見たことがなかった。たぶん、見せないようにしてたんだ
ご飯を運びに行った所の隊士はみんな怪我が治っていて、機能回復訓練をしていた。
治療中は外で掃除を任せられていた。
実弥さんが言っていた。
昨日までいた人が今日はもういなくなる…そんな世界だって…
私をそんな世界に入れたくなくて、見せたくなくて
私は守られてばかりだ
足元が生ぬるい
下を見ればたくさんの赤
_おねぇ、ちゃん……
苦しそうに手を伸ばす弟
夢だ、これは夢だ…
それでも私は弟に手を伸ばした
すると、触れる寸前で弟が実弥さんに変わった
血まみれの、今にも息絶えそうな…
強いあの人からは想像もできないほどに
『いやだ…実弥さん……』
__A…
今にも目を閉じてしまいそうなあの人に
私は何もしてあげられない
『はぁっ…はぁはぁ……』
目を覚まし、布団から起き上がると体が汗でベタベタだった。着替えを済ませ、もう一度眠りにつこうとするが、怖くて眠れない。
実弥さんもいつか、死んでしまうのだろうか…
私を置いていってしまうのだろうか…
そんな思いが体を巡った
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時