第三十話 ページ30
「それじゃあ、お庭の掃除、お願いします!」
『はーい』
今日は実弥さんが隊士に稽古をつけているあいだ、蝶屋敷で色々お手伝いをしていた。
なほちゃん達と廊下の掃除、治療中の人達のご飯作り
そして最後にお庭の掃除
裏の方はもうやってあったのか綺麗だったので、私は屋敷の入口の方に周り、掃除を始めた
『あ、このいちょう綺麗!』
押し花にでもしようかと思い、いちょうを1枚手に取った。風が吹く度ヒラヒラと落ちてくる葉
ここは、実弥さんの所よりも木がいっぱいだから頑張らなきゃ!
箒を持ち直し、また落ち葉をはきはじめると、遠くから人が来るのが見えた。
かなり焦ってる…
誰かを担いでる?
「胡蝶様ァーー!」
しのぶさんを呼んでる、でも今は本部の方に…
そうだ、アオイさんを!!
ここに隊士が来るってことは、きっと誰かが怪我をしたんだ。
私は急いで屋敷に入り、アオイさんを呼んだ。
アオイさんは外へ走り、少しすると、血塗れの隊士が入って来た。
『っ………』
「Aちゃん、見てはいけません。ここから離れて」
アオイさんに言われ、私は外へ出た。
赤く染る隊服とあの人の顔を見て、鬼に襲われたあの日のことを思い出した。
家族の体に赤く花を咲かせていく血を
綺麗だと思っていたいちょうが赤くなっていた
『はぁっ……はぁっ…』
涙を流しながら息絶えた弟の顔がまぶたの裏に映った
忘れた訳では無い。私はみんなの死を乗り越えたはずだ。大丈夫、大丈夫……
暗示をかけるように、何度も唱えた
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時